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21歳の松木玖生の海外移籍が決定。この日の国立での新潟戦がFC東京でのラストマッチとなった(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
21歳の松木玖生の海外移籍が決定。この日の国立での新潟戦がFC東京でのラストマッチとなった(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

なぜ21歳の松木玖生はパリ五輪をあきらめてまでサウサンプトン移籍を決断したのか…来季はトルコのギョズテペにレンタル…長友は「確実にやれる。10年は欧州で」とエール

 FC東京は13日、キャプテンのMF松木玖生(21)が海外移籍の準備と手続きのためにチームを離脱すると発表した。オファーを受けたプレミアリーグのサウサンプトンへ完全移籍し、イギリスの就労ビザ取得の関係で来シーズンはトルコ1部のギョズテペに期限付き移籍すると見られる。松木は同日に東京・国立競技場で行われた、アルビレックス新潟とのJ1第23節で後半途中から出場。勝利で終えた試合後には「チャンスがきたので決めました」と、パリ五輪出場が幻と消えてでも目標の海外移籍を選択した胸中を明かした。

 「自分の夢に近づいていくために」

 万感の思いを募らせながら、松木は3度宙を舞った。
 最後の試合を勝利で終えた直後のひとコマ。FC東京のファン・サポーターで埋め尽くされた、国立競技場のゴール裏スタンドの前で松木はチームメイトたちに胴上げされた。そして、拡声器を通じて自らが下した決断を伝えた。
「いつ行くのかはまだわからないけど、海外に挑戦することになりました」
 新潟戦を数時間後に控えた13日午後に、FC東京は公式HPで「松木玖生選手が海外クラブへの移籍を前提とした手続きと準備のため、本日の活動をもってチームから離脱することになりました」と発表。同時にポストされた公式X(旧ツイッター)のインプレッションは、日付が14日に変わった時点で200万件を大きく超えた。
 今後については「正式に決定次第、あらためてお知らせさせていただきます」にとどめられた。報道では正式オファーを出してきたプレミアリーグのサウサンプトンへ完全移籍したうえで、イギリスの就労ビザ取得の関係で、新シーズンはオーナーが同じトルコ1部のギョズテペに期限付き移籍することが決定的となっている。
 高校サッカー界の強豪、青森山田からFC東京入りして3年目。今シーズンからはDF森重真人(37)、MF小泉慶(29)との3人体制ながらキャプテンにも指名された。より責任のある立場となっただけに、松木はファン・サポーターへ「シーズンの途中で海外へ移籍するのは、心残りがあります」と複雑な胸中を訴えている。
 それでも、海外へ新天地を求める決断を下したのはなぜなのか。
新潟戦後の取材エリア。このタイミングで海を渡る理由を問われた松木は、「チャンスが来たので(移籍を)決めました」と明言。具体的なチーム名には言及しないまま、さらにこんな言葉を続けている。
「一番成長できると思いましたし、自分の夢に近づいていくためには、そこが一番いいと思いました」
 松木は高校時代から海外志向が強かった。たとえば1年生ながら4ゴールをあげる活躍を演じた、2019年度の全国高校サッカー選手権大会の期間中。将来の目標を問われた松木は「Jリーグ、あまり見ないんです」と断りを入れながらこう語っていた。
「声がかかれば、の話ですけど、卒業後はすぐにでも海外へ行ってチャレンジしたい。自分はイングランドのプレミアリーグが大好きで、そのなかでもマンチェスター・シティが一番のお気に入りです。Jリーグと比べてスピード感などがまったく違うし、そういったところを経験したい、という思いが強いですね」
実際に高校2年の冬や3年の夏にはヨーロッパへ渡り、フランスやドイツのクラブでオファーを勝ち取るうえでの第一歩となる練習参加も経験している。しかし、現地のレベルを肌で感じた松木は、J1クラブでしっかりと心技体を鍛え直してから挑戦すると、自らの判断でサッカー人生の設計図を修正している。
 そして、2年半の時間を経て機は熟したと判断した。特に21歳にしてキャプテンを担った今シーズンの経験が大きいと、松木は自己分析している。
「キャプテンを務めた経験は絶対に生きると思うし、自分としてもこの経験を無駄にはしたくない。海外へいって、より貪欲に自分を出していけたらと思っている」

 

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