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横浜F・マリノスがハリー・キューウェル監督を電撃解任(資料写真:西村尚己/アフロスポーツ)
横浜F・マリノスがハリー・キューウェル監督を電撃解任(資料写真:西村尚己/アフロスポーツ)

「結果的に見込み違いだった」横浜F・マリノス社長が明かすキューウェル監督の電撃解任の理由

 横浜F・マリノスは16日、ハリー・キューウェル監督(45)との契約を解除したと発表した。今シーズンのJ1における初の監督の解任となる。今季からチームを率いたキューウェル監督は、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)こそ準優勝したものの、約3分の2の日程を消化したJ1リーグ戦では12位と低迷していた。この日、横浜市内で取材対応した中山昭宏社長(57)は、「見込み違いだったのか」と問われ「結果的にそうです」と答えた。今後は、ジョン・ハッチンソン・ヘッドコーチ(44)が暫定的に指揮を執る。

 リーグ戦12位で「どこで手を打つか」

 鹿島アントラーズに4-1で逆転勝ちし、泥沼の連敗を「4」で止めてからわずか2日。マリノスがキューウェル監督との契約を解除したと発表した。
 キューウェル監督に対して、マリノス側が契約解除を通告したのが前日の15日。鹿島戦の結果にかかわらず、クラブとしてすでに解任を決めていた跡が伝わってくる。横浜市内のクラブ事務所で取材に応じた中山社長は、ACL決勝を終えた5月下旬から議論が始まっていたと明かしたうえで、次のように言及した。
「1試合で急によくなる、という話ではない。アントラーズ戦はおかげさまでいい結果になりましたけど、勝ったからどうこうとかではなくて、いまある課題に対してどこで手を打つのか、という判断のもとでタイミングを決めました」
 クラブ史上で初めて進出したACL決勝では、アル・アイン(UAE)にホームで2-1と逆転勝ちを収めながら、アウェイでは退場者を出した影響もあって1-5と大敗して悲願のアジア制覇を逃した。帰国直後の柏レイソル戦こそ4-0で快勝したが、6月に入って鹿島、FC町田ゼルビアと上位勢に連敗を喫した。
 マリノスがグローバルパートナーシップ契約を結んでいる、イギリスに本社を置く世界的なサッカー事業グループ、シティ・フットボール・グループ(CFG)も含めた当時の議論の内容を、中山社長は次のように明かしている。
「勝ち負けがどうこうではないが、負け方という点で、マリノスが目指すアタッキングフットボールができていない理由が、ACLの疲れからきている部分と、そうではない部分がある、といったところの会話から始まっている」
 その後にサンフレッチェ広島、北海道コンサドーレ札幌に連勝するもいい流れは続かない。アビスパ福岡、東京ヴェルディ、サガン鳥栖、そしてガンバ大阪と16年ぶりとなる4連敗を喫した。特に敵地パナソニックスタジアム吹田に乗り込んだガンバ戦では0-4と、上位につける相手との差を見せつけられた。
 この時点で首位・町田との勝ち点差は20ポイントに開いていた。議論の末に、鹿島戦を前にして到達した、今シーズンのJ1で初めてとなる指揮官解任という結論にいたった理由に対して、中山社長は次のように言及した。
「ピッチ上でわれわれの選手たちが生き生きと、横浜F・マリノスが目指すアタッキングフットボールをやっているのか。そうしたサッカーがどれだけ見られたかと思っていただくと、そうではないサッカーがこの上半期にはあった」
 左利きのアタッカーとして活躍したキューウェル監督は、愛称「オズの魔法使い」とともに親しまれ、リバプールでは2004-05シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ制覇を経験。オーストラリア代表としてもドイツ、南アフリカとW杯に2度出場した一方で、マリノスの指揮官としては華やかな現役時代と異なる顔ものぞかせた。
 審判の判定に猛然と抗議するなどの感情的な行動が多く、これまでに2枚のイエローカードをもらっている。試合後の公式会見やインタビューでも批判的な言動が目立ち、通訳の配慮で和訳されなかったものの、ACL決勝第2戦後のインタビューでも「ショッキングだ」や「ひどかった」と審判批判を展開した。

 

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