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OPBF東洋太平洋バンタム級王者の栗原慶太は2-1判定勝利にも「僕が負けました」と号泣(写真・山口裕朗)
OPBF東洋太平洋バンタム級王者の栗原慶太は2-1判定勝利にも「僕が負けました」と号泣(写真・山口裕朗)

「今天心と戦ったら負ける」…那須川天心が標的にする東洋王者の栗原慶太が判定勝利も想定外の苦戦に“号泣”引退示唆…陣営も弱気発言

 プロボクシングのOPBF東洋太平洋バンタム級王者の栗原慶太(31、一力)が22日、後楽園ホールで行われたスーパーバンタム級ノンタイトル8回戦でレナン・ポルテス(32、フィリピン)に2-1判定で辛くも勝利したが、一発狙いが目立って倒しきれず、逆に打ち終わりにパンチを浴び想定外の苦戦を喫した。試合後には引退を示唆するなど気持ちが大きく揺れ動いた。栗原は次戦で地域タイトルへの挑戦を狙う那須川天心(25、帝拳)の標的の1人。一力ジムの小林一会長(75)は、一度は対戦が決まりかけていた裏事情を明かしたが「オファーが来たら受けるが今戦ったら天心に負けますよ」と弱気だった。

 

那須川天心が標的にしている栗原は気合を入れて猛攻を続けたがダウンシーンを作れなかった(写真・山口裕朗)

 2-1判定勝利にも「僕が負けました」と号泣

 もうヘロヘロで力が残っていなかった。
 栗原は1ラウンドから攻めて攻めて攻めまくった。何度もコーナーに追いつめてラッシュをかけたが、一発狙いの単調なボクシングで、下がってディフェンスに徹したフィリピン人にクリーンヒットを当てることができず、乱打したボデイショットもエルボーブロックで防がれた。しかも、逆に打ち終わりに角度のある右ストレートを浴び、途中から右目に異常をきたした。
 蓄積したダメージに猛攻を続けたことによるスタミナ切れも重なり、7、8ラウンドは自慢のパワーが枯渇。ガードも下がり正面から何発もまともにジャブをもらう始末だった。最終ラウンドのゴングを聞くと同時に両膝に手を置き、コーナーに戻ると両手でロープをつかんで下を向き、ずっと肩で息をしていた。
「試合をやりながら、このままなら負けると思っていた。(試合)終了のゴングを聞いた時“終わったなあ”と思った」
 判定は2者が78―74で栗原を支持、1者が78―74でポルテスにつけた。逃げに徹したフィリピン人の勝ちはないが、判定結果を聞き栗原は号泣。レフェリーから勝ち名乗りの右腕を上げられることを拒否した。
 リング上での勝利者インタビューも一度は断ったが「謝罪だけさせてください」と言ってマイクを持ち、「結果としては勝者扱いにさせていただいたところですが、負けました。情けない。すみません、この場をお借りして謝罪させていただきます」と泣きながら頭を下げた。
 自らの不甲斐なさが涙に変わった。
 栗原はポルテスの控室を訪れて「オレは勝ったと思っていない。負けを認める」と伝えた。
 ポルテスも「6ラウンドに猛攻を受けたとき、あきらめかけたが、母国で待つ娘の顔を思い出して耐えたんだ」と返した。
 栗原は自らの控室に戻るとパイプ椅子に座りうなだれた。
「レナン選手の上手さに空回りして、やってはいけない展開をやった。あの右も唯一警戒するパンチで気をつけろと言われていた。右サイドに回って背後をとる練習をしていたが、違った動きをされて対策が通用しなかった。思ったよりパンチもあった。引いた相手に細かくパンチを当てていき、丁寧に倒すことを課題としていたが、それができなかった。未熟さと成長の無さを感じた」
 13勝(6KO)16敗という負け越し戦績のフィリピン人との苦戦をそう分析し「自分は、この試合は負けだと思う。変えられるのであれば戦績を負けにしてもらいたい」と自分を責めた。
 バンタム級の東洋のベルトは保持したままだが「王座を持つ権利はない。勝たせてもらった勝利」とまで卑下した。
 そして自らの進退について切り出した。
「自分に愛想がつきたというか、絶望しているというか、情けない気持ちでいっぱい。生活のすべてをボクシングにかけてやってきた。でも、もう仕事として生活面のためにボクシングをやるべきではない。自分としては、もうこれまでかなという気持ちです」
 引退を示唆して言葉に詰まった。
 だが、直後に「頭の中がぐちゃぐちゃになっています。まず応援してくれている方、スポンサーの方に話すのが筋。順序が違いますね。けじめをつけてから、その後に正式にお伝えしたい。この話は聞かなかったことにして下さい。僕自身の覚悟がなかったのかなと思います」とも話し、激しく揺れ動く気持ちを隠さなかった。

 

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