「数的有利の状況を作れなかった」元五輪代表の大山加奈さんが語る…なぜ日本女子バレーはブラジルに完敗し自力での決勝T進出が消滅したのか?
パリ五輪の女子バレーボール1次リーグ、グループB第2戦が1日、当地で行われ日本が東京五輪銀メダルで世界ランキング2位のブラジルに0-3でストレート負けした。ポーランド戦に続く連敗で勝ち点もゼロで、3日にケニア戦を残しているが自力での決勝トーナメント進出は消滅した。なぜ日本は6月のネーションズリーグ準決勝でフルセットの末勝利していたブラジルに完敗を喫したのか。元アテネ五輪日本代表の大山加奈さんに見解を聞いた。
ブラジルのサーブで崩された守備
日本はやりたいバレーをさせてもらえませんでした。
敗因は、ブラジルのサーブが機能して、日本はレシーブが崩れ、バックアタックやミドルの攻撃を使えない状況に追い込まれ、数的有利な状況を作れなかったことにあります。攻撃の選択肢が減り、パターンが単調になってしまりました。
ブラジルのサーブの質とコースが的確でした。バックアタックを打つ選手を狙い、リベロがカバーできないポジションに絶妙に落としてきました。多彩な攻撃で揺さぶることができなかったため、日本はブラジルの高いブロックに苦しめられることになりました。
一方、対照的に日本はサーブでブラジルのレシーブを崩すことができませんでした。日本は攻撃力のあるアナクリスティーナ選手をターゲットにしていましたが、守備範囲の広いリベロのニエメビクトリア選手にうまくカバーされて、好きなように攻撃を許してしまう展開となってしまいました。
日本は1-3で敗れたポーランド戦からスタメンを変え、オポジットに和田由紀子選手、ミドルブロッカーに宮部藍梨選手を起用しました。
和田選手はポーランド戦でも機能していましたし、ブラジルの高くて堅いブロックを分散するためには、9メートルのコート幅をめいっぱいに使う必要がありました。和田選手が入ることでバックライトからのスパイクが選択肢として増えるため攻撃のバリーエーションが増えます。また日本のミドルブロッカーは能力の高い選手が揃っていて誰が起用されても遜色はありませんが、特に宮部選手は、サーブが武器でブロックでのワンタッチも取れる選手です。ブラジルは積極的に真ん中の攻撃を仕掛けてきます。そこへの対応もあったのでしょう。
真鍋政義監督の対ブラジルのプランは最初機能しました。第1セットは、いきなり宮部選手のブロックによる得点からスタート、5点目も和田選手のバックライトからの攻撃でした。第1セットは、中盤までで、ブラジルのサーブミスが5本もあり、サイドアウトも取れていて16点までは、1点差の攻防になっていました。
しかし日本が、コート中央からの攻撃を絡めることができなかったため、ブラジルはすぐに対応し、サイド攻撃へのブロックの寄りが早くなってきました。サーブでラインを踏むミスも出るなど、チームフォルトが7つもあり、終盤にはペースをブラジルに明け渡してしまいました。最終的には日本のチームフォルトは22でブラジルの11の倍もありました。代表メンバーの12人中8人が五輪初出場です。五輪独特の空気にのまれて普段のプレーができないという緊張感もあったのかもしれません。
第2セットは序盤に5連続得点を許して主導権を奪われました。アナクリスティーナ選手に自由自在にレフトから打たれましたが、ここもサーブで崩されて日本の攻撃パターンが読まれて機能せず、サイドアウトを取れませんでした。