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男子100m準決勝でサニブラウンは五輪での日本人初の9秒台となる9秒96を叩きだしたがファイナルには進めなかった(写真・ロイター/アフロ)
男子100m準決勝でサニブラウンは五輪での日本人初の9秒台となる9秒96を叩きだしたがファイナルには進めなかった(写真・ロイター/アフロ)

サニブラウンの9秒96でもパリ五輪男子100m決勝に進出できなかった記録をどう評価すべきか…“超高速化”の新時代に乗り遅れた?

 パリ五輪の男子100mの準決勝、決勝が5日、スタッド・ド・フランス)で行われ、準決勝ではサニブラウン・アブデル・ハキーム(25、東レ)が9秒96の自己ベストをマークしたが4着でタイムでも拾われず、全体の10位で日本勢として92年ぶりに決勝進出を逃した。金メダルを獲得したのは昨年の世界陸上を制したノア・ライルズ(27、米国)、キシェーン・トンプソン(23、ジャマイカ)と9秒78で同タイムだったが、写真判定が行われ、1000分の5秒差でライルズの金メダルが確定した。

 決勝進出ラインに0秒03届かず

〝人類最速〟を決める男子100m。パリ五輪は準決勝から超ハイレベルとなった。そのなかでサニブラウンはどのように戦ったのか。
 前日の予選は4組で出場。序盤からトップ争いを繰り広げると、O・セヴィル(ジャマイカ)に次ぐ2着で悠々と駆け抜けた。10秒02(±0)というタイムはリオ五輪の準決勝で山縣亮太がマークした10秒05(+0.2)を上回るオリンピック日本人最高記録だった。
 世界選手権は2年連続でファイナルに進出しているだけに、「今日は本当に楽々なので、明日は戦いにいく感じで、しっかり集中していければと思います」と余裕のコメントを残していた。
 そして準決勝に向けては、「プレッシャーを感じずに、自分の走りができれば決勝にいけると思う。落ち着いてしっかりコンディショニングしていければな、と」と語っていた。
 男子100mの準決勝は全3組。各組上位2着+タイム上位者2名が決勝進出となる。
 1組から凄まじいレベルになった。O・セヴィル(ジャマイカ)が9秒81(+0.7)、金メダルを獲得することになるライルズ(米国)が9秒83で着順通過。3着は9秒97、4着は10秒00。この時点でサニブラウンがファイナル進出するには9秒台が必要になった。
 2組はA・シンビネ(南アフリカ)が9秒87(±0)、L・テボゴ(ボツワナ)が9秒91で着順通過。L.M・ジェイコブス(イタリア)が9秒92、K・ベドナレク(米国)が9秒93をマークしたため、ファイナル進出には日本新記録(9秒95)を上回る9秒93未満のタイムが求められることになった。
 日本のエースが入った3組は9秒台のベストを持つ選手が7人。自己ベスト(9秒97)は7番目、シーズンベスト(9秒99)は5番のサニブラウンが好スタートを切るも、終盤は動きが乱れた。
 1着は銀メダルを獲得することになるK・トンプソン(ジャマイカ)で9秒80(+0.5)、2着はF・カーリー(米国)で9秒84。B・リチャードソン(南アフリカ)が9秒95、サニブラウンは9秒96の4着だった。92年ぶりとなる日本勢の男子100m決勝進出はならなかった。
 テレビ解説を務めた北京五輪4×100mリレー銀メダリストの高平慎士氏は、「いいかたちでスタートを切って、中間もいい位置で走っていたんですけど、終盤は走り急ぎが出て、サニブラウン選手には珍しく、前傾になってしまいましたね」と終盤の走りを指摘した。
 サニブラウンもレース直後のインタビューで、「アップも調子が良くて、ぜんぶ出し切る勢いでスタートしたんですけど、最後はうまくまとまり切れなかったのが失速したきっかけになったのかなと思います。ラストで伸びてくる選手がいるので、自分のレースをすれば食らいついていけると(コーチに)言われていたんですけど、少しオーバーストライド気味になってしまった部分があったのかなと思います」と自身の走りを振り返った。
 サニブラウンは五輪の日本人最高記録を更新して、自己ベストも塗り替えたが、決勝進出ラインに0秒03届かなかった。

 

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