パリ五輪で性別騒動の台湾女子ボクサーリンが圧勝で決勝進出も敗れたトルコ選手がまた「X」ポーズの侮辱的問題行動
パリ五輪女子ボクシング57キロ級準決勝が7日、ローラン・ギャロスで行われ、性別騒動に巻き込まれたリン・ユーチン(28、台湾)がエシュラ・ユルドゥズカフラマン(27、トルコ)にフルマークの5-0判定で勝利し決勝進出を決めた。だが、試合後にまたしても敗れたトルコ選手がリング上で女性が持つ染色体を示す「X」の文字を指で作って観客にアピールする侮辱的な問題行動を起こした。準々決勝でも敗れたブルガリアの選手が同じ行動を起こして物議を醸していた。IOC(国際オリンピック委員会)は同じく決勝進出を決めた女子66キロ級のイマネ・ケリフ(25、アルジェリア)とリンの2選手の出場資格に問題がないことを確認し「全ての人間に差別を受けることなくスポーツを行う権利がある」との声明を発表している。
試合は5-0フルマークの圧勝
まだやるか。
今回の性別騒動の問題の根深さを示すかのように準決勝でリンに敗れたトルコのボクサーが1万8000人で埋まったローラン・ギャロスで問題行動を起こした。
リンの5-0勝利が告げられ、レフェリーに台湾ボクサーの左腕を上げられると敗れたユルドゥズカフラマンは握手もせず、そのままコーナー付近に移動した。ロープに腰をかけリンが退場できるように空間を作った。その行動を見たリンは、ほっとしたような笑顔を浮かべ四方のファンに感謝を伝えた後に腰をかけたトルコ選手と健闘を称えあい、そこからリングを降りた。
だが、この一見、敬意を示したかに見えた行動は、先にリンを退場させ、その後に自分がパフォーマンスを行うためのたくらみだったのだろう。
リンがいなくなるとリングの中央に立ち、指を交差させて「X」の文字を作り四方に示したのだ。会場は、その侮辱的な問題行動に騒然となった。
実は準々決勝でもリンに敗れたスベトラーナ・スタネバ(ブルガリア)が同じパフォーマンスをリング上で行っていた。
リンはIBA(国際ボクシング協会)が主催する昨年の世界選手権で性別適格性検査で一般的に男性が持つ「XY」染色体が検出されたとして失格処分となった。一般的に女性が持つのが「XX」染色体。トルコ選手が示した「X」は、この染色体を示唆したと考えられる。
英メディア「デイリーメール」によると、ユルドゥズカフラマンは、その行動の意図を質問され「ノーコメント」と返したという。
準々決勝でリンと対戦したブルガリア選手のコーチは、試合後に「私は女性とだけ戦いたい。私はXXです」と書かれた手書きのメモを示し「これは多分、この(パリ五輪の)トーナメントに参加しているすべての女性ボクサーからのメッセージです」と訴えていた。
その流れから、このトルコ選手も敗れた腹いせに同じ侮辱的ポーズを行ったのかもしれない。
試合は、手足の長いリンがステップワークを使い、ジャブとスピードでリードするアウトボクシング。一方体格で劣るトルコの選手は突っ込んでいくファイタースタイルで対照的だった。リンは1ラウンドから相手が入ってくるところに的確に左右のカウンターを合わせてポイントを稼いだ。2ラウンドに勝負をかけたトルコの選手が、声を発しながら、インファイトを仕掛けて左右ボディを乱打したが、終盤は“ガス欠”。3ラウンドは、まるでパンチが届かず、リンが余裕で試合をコントロールし、右ストレート、右アッパーなどのカウンターを決めて、5人のジャッジがフルマークを付ける圧勝だった。