井上尚弥が12月予定の4団体統一戦を「早期KO決着にならない」と語った理由…記者団には「アレ?アレ?はやめて欲しい」と注文
プロボクシングのWBAスーパー、IBF、WBC世界バンタム級王者の井上尚弥(29、大橋)が2日、都内でWOWOWの「井上尚弥出演!エキサイトマッチSP『井上尚弥vsノニト・ドネア』第2戦」(8月15日午後9時放送)の番組収録を行い、収録後の取材対応で、12月に国内開催で進んでいるWBO世界同級王者、ポール・バトラー(33、英国)との4団体統一戦に向けての具体的なKOプランを初めて明かした。
バトラーのクセを分析
あの感動が蘇ってくる。
WOWOWの収録で父で専属トレーナーの真吾さんと共に衝撃の264秒TKO勝利となった6月7日のドネア戦の映像を見終えたモンスターは、「パーフェクトじゃないですか。試合だけじゃなく試合に向けたトレーニング段階や入場を含め、気持ちの持っていき方も凄くよかった。全部よかったと思う」と自画自賛した。「比較的自分の試合を振り返る方」だという井上はすでにドネア戦の映像を何回も見直したという。
番組の終盤には、井上が次戦のターゲットとするバトラーのWBO世界同級暫定王座決定戦のフラッシュ映像が流された。当初、WBO世界同級王者ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)とのタイトル戦が予定されていたが、カシメロが、英国ボクシング管理委員会が禁じているサウナを利用して減量をしていたことが発覚。試合出場が認められず、急遽、代役の同級4位ジョナス・スルタン(フィリピン)との暫定王座決定戦となり、バトラーが判定勝利。後日、カシメロのタイトル剥奪が発表され、バトラーが正式王者へ格上げとなった試合だ。
「フルには見てないが、ちょこちょことYoutubeとかで、気が向いたら見るようにしている。どんなとき?ぽっとバトラーのことを考えるとき」
バトラーが脳裏をよぎる…まだ正式には決定していないが、井上が、この4団体統一戦にかけるモチベーションを示すエピソードだ。
これまでバトラーについて多くを語ることがなかったが、「試合が決まりかけている」状況になって映像を見始め、この日は「足をよく動かすジャブ主体の教科書通りの選手」という印象を口にした。
34勝(15KO)2敗の戦績が示すようにバトラーは、一発のパンチ力はないが、巧みなステップワークで距離を支配してポイントアウトで勝ってきたボクサー。過去に井上が戦ってきた中では、2020年のラスベガスデビュー戦で、7ラウンドKO勝利したジェイソン・モロニー(豪州)に似たタイプだという見方をしている。
「スタイル的には、(倒すために)しっかりと作戦を立てなければいけない相手。仕留めるための攻撃の仕方やどういう流れで詰めていくか。クセだったり、入り込むところのタイミングだったり」
逃げ切りを許さずに倒すプランを綿密に練る必要があるというのだ。
すでにその輪郭は出来上がっているようで、「今の時点で早いラウンドの決着は考えていない。中盤から終盤に徐々に弱らせ最後にフィニッシュする」という。その4団体統一プランは1、2ラウンドの衝撃の早期KOの再現ではなかったのである。