愛工大名電のサヨナラ勝利呼び込む火消しに成功した元中日“レジェンド”ストッパー岩瀬仁紀の長男・法樹のプロ評価は?
全国高校野球選手権大会の2回戦が12日、甲子園球場で行われ、愛工大名電(愛知)が延長10回、6―5で八戸学院光星(青森)にサヨナラ勝ちした。元中日で1002試合の通算最多登板、407の通算最多セーブ記録を持つ“レジェンド”岩瀬仁紀さん(47)の長男である法樹(3年)が7回一死一、二塁のピンチに登板し無失点で切り抜けると、流れを呼び寄せ、その裏に4点を奪って5-5の同点に追いつき、延長10回にサヨナラ勝ちした。父と同じくスライダーを武器とするストッパー岩瀬に対するプロの評価とは?
7回一死一、二塁のピンチをスライダーでピシャリ
“レジェンド”ストッパーのDNAを受け継いでいる。
この回3点を奪われ、1-5とされこれ以上の傷口を広げるわけにはいかない7回一死一、二塁のピンチに倉野監督は、エースの有馬伽久に代え、背番号「11」の岩瀬をマウンドに送った。やはり“血“には逆らえない。父とは違い右腕だが、セットポジションの仕草や、その足の上げ方から高さ、腕の角度まで、投球フォームに、父の面影が重なった。 しかも、武器にするボールが、父が現役時代に代名詞とした“伝家の宝刀”のスライダーとくる。
岩瀬は、打席に八戸学院光星の5番打者、織笠陽多を迎え、その初球に迷わずスライダーを投げこんで空振りを奪う。続く2球目は、スライダーがキレすぎてワンバウントとなり、空振りを奪ったものの、捕手が後逸して、走者が二、三塁に進塁してしまう。
だが、岩瀬は動じなかった。
報道によると、岩瀬は「二、三塁の方が打者に集中できた」という。4球ファウルで粘られたが、岩瀬はキャッチャーのサインにクビを振ってスライダーを選択した場面も。最後もスライダー。速度を131キロに若干アップさせて抜いた種類の違う伝家の宝刀で織笠のバットに空を切らせ三振に打ち取った。さらに続く池上智史も初球に投じたスライダーでセカンドゴロに打ち取り、見事なまでの火消しに成功したのである。
岩瀬の“魂の8球“がゲームの流れを変えた。
その裏、3本のタイムリーなどで4点を奪い同点に追いつくと、延長10回に先頭の有馬が左中間を深々と破る三塁打で出塁。今大会の打率が7割を超える絶好調男の美濃十飛が気合と共に叩きつけた打球がサヨナラ打となりセンターへと抜けていった。
試合後、倉橋監督は、「岩瀬が流れを変える投球をしてくれた。愛知大会もそうでしたが、劣勢だったのが攻撃的なチームの流れになった」と、流れを変えた岩瀬のプレートさばきを称えた。
1回戦の星稜戦では大差での登板だったが、9回の1イニングを無失点。昨年肩を痛めたが、その後、リハビリを経て復活し、愛知県大会でも2試合にストッパーとして1イニングずつ登板し、いずれも無失点に抑えるなど大事な役割を任されている。