4回戦ボーイ倒せず1000万円ゲット皇治と「負ける気しなかった」ヒロキング。勝敗がつかなかった異色エキシの本当の勝者は?
JBC管轄外の「ABEMAスペシャルマッチ」として元K-1戦士でRIZINで活躍中の人気格闘家の皇治(33)と現役4回戦ボクサーのヒロキング(本名・福重浩輝、29、KWORLD3)とのボクシングルールによる3ラウンドのエキシビションマッチが14日、エディオンアリーナ大阪で行われた。異例の挑戦となった皇治は随所にボクシングテクニックは見せたが、スピードやパンチ力に欠け、粗さが目立つプロ戦績が2戦2勝しかないヒロキングを圧倒することさえできず、KO&TKO以外は決着なしのルールにより勝敗はつかなかった。ヒロキングは「負ける気はしなかった。(ボクシング界には)無名な選手でも皇治選手より強い選手がたくさんいる」と本音でトーク。皇治は4桁(1000万円以上)のファイトマネーを手にしたことを明かしたが、JBCとの間にひと悶着まで起こして実現にこぎつけた、このイベントの勝者は、いったい誰だったのか。
高度なBOXスキルを見せるがスピードと迫力に欠けた
エンタメに徹したのは皇治ではなく4回戦ボーイのヒロキングの方だった。トリッキーに腰を振ったり、おちゃらけたポーズをとった。
皇治は、序盤から左ジャブを軸に生真面目にボクシングを組み立てたが、10オンスのアディダス製グローブが使用された影響もあり、スピードや迫力に欠けた。
ヒロキングは「倒せたと思う。次やったら倒せる。負ける気がしなかった」と試合後に語ったが、まだ2戦(2KO)しか経験のない4回戦レベルでも怖さを感じなかったのだろう。
あげくの果てには、皇治は、自らの代名詞のはずのバッティング攻撃のお株を奪われた。ヒロキングは、何度もワザとバッティングを仕掛けて場内の笑いを誘っていた。
「バッティング?向こうが(やってこいと)言ったんでやりましたよ」 事前の応酬で、皇治は「バッティングやってこい」と挑発していた。 実際、第3のパンチを鼻に直撃された皇治は、「バッティング?痛いですね。へへへ。いいですよ。責めてあげないでね。それくらい倒したかったんじゃないですか」と苦笑いした。
純粋なボクシングの見せ場は少なかった。
ヒロキングは、思い切りボディやフックを振りまわしたが、力んで予備動作が大きくなったパンチは粗く、皇治も「ボディ?印象にない。五味さんとかに殴られてるので可愛いもんです」と振り返る。
皇治は、1ラウンドには、左フックがカウンターとなり、2ラウンドには、ボディへの素晴らしい左の高速ダブルなどコンビネーションブローに高度なスキルは見せたが、ダメージを与えるまでは至らない。
セコンドには飯田裕トレーナーと元日本スーパーライト級王者の細川バレンタイン氏が付き、飯田トレーナーは「サイド!」「サイド!」と声を出し、ステップワークを駆使してヒロキングの直線的なパワーにあふれた“圧“をさばくことを指示していた。
皇治は冷静に足を動かし続け、至近距離でもディフェンス技術を駆使して決定的な被弾もなかったが、3ラウンドにはロープを背負う場面もあり、ボクシングでとびきりの才能を示すことはできなかった。結果的に無名の4回戦ボーイにスポットライトを当てさせてしまうだけのエキシの3ラウンドとなったのである。 ヒロキングは、皇治のボクシングの実力を「無名な選手でも皇治選手より強い選手がたくさんいる。チャンピオンになれるかと言えばクエスチョン。無名のチャンピオンのほうが強い」と評した。 皇治は、キック時代から、ボクシング練習を取り入れ、PRIDE、UFCなどで活躍した“レジェンド”五味隆典とボクシングマッチを戦ったこともあり、決定寸前までいった元2階級制覇王者、亀田和毅とのボクシングマッチに備え本格的な準備をしたこともある。