なぜ開幕戦でゴールを決めた久保建英のFW能力を称賛した森保監督は彼を生かす2トップ構想には消極的なのか?
日本代表の森保一監督(53)が16日にオンライン取材に応じ、先週末のラ・リーガ1部開幕戦で決勝ゴールを決めた久保建英(21、レアル・ソシエダ)に言及した。新天地での鮮烈なデビューを「ゴールに向かっていく姿勢が結果に表れた」と称賛しつつも、2トップの一角で躍動した久保が代表でも新たなヒントになるのか、という問いには「その前に代表の戦い方があり、もともとのコンセプトもあるので」と後ろ向きの姿勢を示した。
「あのギラギラしたところがすごくいい」
スタートから1時間近くがたち、定例のオンライン取材が終わろうとしたときだった。森保監督が「逆に質問していいですか」とおもむろに切り出した。
テーマはそれまで何度も質問を受けた久保。新天地ソシエダでのデビュー戦となった、日本時間14日未明のカディスとのラ・リーガ1部開幕戦で先発を射止め、ゴールまで決めた21歳に関して、森保監督はさらに質問をかぶせた。
「みなさんが見ていて、ここが変わってきている、というのはありますか」 指揮官自身は質疑応答の冒頭で、ゴールを含めた久保のプレーを称賛していた。
「ポジションをつかむために結果が必要だと本人も意識していたはずなので、ゴールに向かっていく前向きな姿勢が、得点という結果につながってよかったと思う」
記者から同じニュアンスの答えが返ってくると、我が意を得たりと笑顔を浮かべた。
「何とか目に見える結果を出して、自分の存在をみなさんに見てもらおうといつも考えている。あのギラギラしたところが、すごくいいと思っています」
レアル・ソシエダのファン・サポーターのハートを一発で射止め、スペインメディアからも称賛されたゴールは、0-0で迎えた前半24分に飛び出した。
敵陣の右サイドでMFミケル・メリノがボールを持った瞬間に、カディスの守備網に生じたギャップを突いた久保は、最終ラインの背後へ抜け出そうとしていた。
メリノから放たれた浮き球のパスを、宙を舞いながら左足で巧みにトラップ。着地するや利き足とは逆の右足で放ったボレーをゴール右隅へ突き刺した。これが両チームを通じて唯一のゴールとなり、ソシエダは敵地で勝ち点3を手にした。
マジョルカ、ビジャレアルとヘタフェ、再びマジョルカへ期限付き移籍した昨シーズンまでの3年間と大きく異なったのは、久保のポジションだった。 代表を含めて中盤での起用がほとんどだった久保は、身長192cm体重79kgのサイズを誇るスウェーデン代表FWアレクサンデル・イサクと2トップを組んだ。
もっとも森保監督によれば、同時にチェックしたインターネットの試合速報では、媒体ごとに久保のポジション表記が異なっていたという。伝える側も混乱しているんだなと思いながら、指揮官は映像越しに久保のプレーをチェックし続けた。
「トップというか、トップ下というか、トップのフリーマンみたいな感じでしたね。自由に攻撃へ絡み、他の選手たちとポジションをローテーションしながら、ボールを受けられるスペースを探し出して非常に賢くプレーしていた。時間とスペースを見つけながらプレーすることで、自分のよさを上手く発揮していたと思う」