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左肩を亜脱臼している大谷翔平は再発防止のため左手でユニホームの胸のあたりをつかむ痛々しい姿で走塁(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
左肩を亜脱臼している大谷翔平は再発防止のため左手でユニホームの胸のあたりをつかむ痛々しい姿で走塁(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

「ショウヘイが打席に立つだけで脅威となる」左肩亜脱臼で強行出場した大谷翔平の無形の“存在感”をドジャースの面々が賞賛…フルスイングや満足な走塁ができなくともWS王手に貢献

 ワールドシリーズの第3戦が28日(日本時間29日)、ヤンキースタジアムで行われ、ドジャースの大谷翔平(30)が第2戦で左肩亜脱臼の大怪我を負ったにもかかわらず「1番・DH」でスタメン出場。本来のスイングはできず、ヒットはなかったが、存在感だけで初回に四球を選び、フレディ・フリーマン(35)の3戦連続となる先制2ランを呼び込んだ。4-2で勝利、3連勝でシリーズ制覇に王手をかけた。デーブ・ロバーツ監督(52)は第4戦の起用も明言。米メディアやチームメイトからは賞賛の声が相次いだ。

 王手をかけた第4戦も「1番・DH」でスタメン

 奇跡の男だ。26日(同27日)の第2戦の7回に盗塁を試みて、スライディングを試みた際に左腕をつき肩を痛め、亜脱臼の診断を受けた大谷が、1日の移動日を挟んでヤンキースタジアムで行われた第3戦のスタメンに名を連ねた。
 USAトゥデイ紙によると、試合前会見に出席したマックス・マンシーは、第2戦の試合後にニューヨークへ向かうチャーター機で移動するためロサンゼルス空港へ移動している途中に、グループメールで大谷から「大丈夫だ」とのメッセージが届いたことを明かした。
「わかったという気持ちになった。彼はスタメンで出る用意ができていると、みんなと話したんだ」
 ロバーツ監督も「彼はプレーすることを譲らなかった」と言う。
 痛み止め注射とテーピングを施し、試合前の選手紹介などのセレモニーの間は、ジャンパーの下に肩を冷やさないような固定サポーターをつけていた大谷は、第1打席で、1球もバットを振らずにストレートの四球を選んだ。ヤンキースの先発のクラーク・シュミットが「54-59」を成し遂げ、2冠王を奪った存在感を意識しすぎたのだ。
 塁に出た大谷は、左手でユニホームの胸のあたりをつかんだままの異様な姿でリードを取った。スライディングをした際に同じように手をついてしまうことを避けることが狙いだったそうだが、そもそも腕を振ると痛みが走るのだろう。
 大谷の出塁に火をつけられた続くフリーマンが高めに浮いたカットボールをライトスタンドへ運んだ。先制の2ラン。大谷はその姿のままダイヤモンドを一周した。
 大谷は3回無死一塁で迎えた第2打席にはセカンドゴロに倒れたが、走者を進める最低限の仕事を果たして、ムーキー・ベッツのタイムリーを呼び込んだ。
 第4打席は三振。空振りをした際に顔をしかめるシーンもあった。第5打席はフルスイングできずにサードへのファウルフライに倒れ、9回の第6打席は死球。ヒットはなかったが、大谷がそこにいるだけで、ドジャースは4-2でヤンキースを蹴散らし、世界一へ王手をかけたのだ。
 USAトゥデイ紙は、「肩の上にバットを残すだけ(振らなかった)としても彼のインパクトはすぐに表れ、試合開始にストレートの四球を引き出した。そしてドジャースを4-2の勝利とワールドシリーズの対戦成績を3勝0敗とすることに大きなポイントとなったフリーマンの2ランで小走りでホームへ戻ってきた」「ドジャースはこのシリーズに勝つために大谷がヒーローになることも、彼の打撃も必要としていない。大谷は、試合前の紹介の間はサポーターを身に着け、左肩の亜脱臼のため、用心深く走り、ヒットはなかったが、まったく関係なかった」と伝えた。
 ロバーツ監督は、「大谷が片手でしかスイングできないとしても、彼の存在だけで影響を及ぼすことができる」と、その存在感を称賛した。

 

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