今日からFA申請解禁…来季の巨人に日本シリーズで無安打に終わったソフトバンクの“世界一捕手”甲斐拓也は必要か?
日本シリーズは横浜DeNAが4勝2敗でソフトバンクを下してセ・リーグでは初となるレギュラーシーズン3位からの“下剋上日本一”を成し遂げた。ソフトバンクの敗因の一つが、第2戦の2回から第6戦の3回まで29イニング無得点が続いた打撃不振。特に深刻だった一人がノーヒットに終わった捕手の甲斐拓也(32)だ。甲斐は今オフに巨人がFA調査のターゲットにしているとされている昨年のWBCで優勝に貢献した“世界一捕手”。だが、あまりもの打てなさ具合から、巨人OBでヤクルト、西武などで監督を務めた広岡達朗氏から「そろそろFAは解禁していいが、選手を選ぶ必要がある」という意見が出るなど“不要論”も高まっている。
「甲斐キャノン」と評された盗塁阻止率も低下
パ・リーグを貯金「42」で独走Vしたソフトバンクが2連勝の後にまさかの4連敗で4年ぶりの日本一の座を逃した。敗因はいくつか考えられるが、最大の理由は、29イニング無得点が続いた打線不振だろう。4番の山川穂高が第3戦からノーヒットに終わったが、もう一人の“戦犯”としてクローズアップされたのが、「8番・捕手」で6試合中、5試合にスタメン出場しながら、シリーズを通じて1本のヒットも打てなかった甲斐だ。
第2戦で犠飛を1本決めてはいたが、負けたら終わりの第6戦も3打席で凡退。5回には2番手の濵口遥大に全球ストレートで勝負され、最後は148キロのストレートにバットが空を切った。甲斐は2018年の広島との日本シリーズでは1度も盗塁を許さず6連続の走塁阻止のシリーズ記録を樹立して守りでMVPを受賞した。
だが、今回のシリーズでは、機動力を駆使した横浜DeNAに2盗塁を許すなど、「甲斐キャノン」も絶対ではなくなっていた。
レギュラーシーズンでの盗塁阻止率も今季は.284でリーグ5位。1位のオリックスの若月健矢の.474からも大きく引き離れた。
日本シリーズの大スランプを受けて関係やSNSでファンの間から漏れてきている声が「巨人は甲斐をFAのターゲットにして大丈夫か?」という意見だ。
4年ぶりにリーグ優勝を果たした巨人だが、クライマックスシリーズのファイナルステージで横浜DeNAに3勝4敗(アドバンテージ1勝を含む)で敗れたこともあり、今オフには、FA補強に乗り出すとされている。
巨人は過去にFAで12球団最多の28人を補強してきたチームだが、2020年オフに横浜DeNAからダブルで獲得した梶谷隆幸、井納翔一を最後にFAで獲得した選手はいない。昨年オフはオリックスからFA宣言をした山崎福也の争奪戦に参戦しているが、ふられた形となり山崎は日ハムを選んだ。その4年ぶりのFA解禁の最大のターゲットが甲斐とされている。
巨人は今季、岸田行倫が74試合、大城卓三が34試合、小林誠司が36試合に先発マスクをかぶり3人を併用した。攻撃型布陣を組む際には大城、菅野智之の先発では小林と、起用法を分けていた。岸田は盗塁阻止率もリーグトップの.475で、打撃は、打率.242、4本塁打、26打点の数字を残したが、リード面などを含めた総合評価として阿部監督はまだ満足はしていなかった。阿部監督は捕手出身だけに大黒柱となるべき捕手を欲していると見られている。
説明するまでもなく、甲斐はゴールデングラブ賞を6度、ベストナインを3度受賞の球界を代表する捕手。侍ジャパンでもマスクをかぶり東京五輪では、チーム最高の打率.385で金メダル獲得に貢献、大谷翔平を擁して優勝した昨年のWBCでも主戦捕手の一人として世界一を支えた。今季は119試合にしか出場していないが、打率.256、5本塁打、43打点の好成績を残した。打率は2019年の.260に次ぐキャリア2番目の数字で、本塁打は昨年10から5本減ったが、二塁打は16本から25本に急増、これはキャリアトップの数字でずっと課題とされていた打撃面に改善が見えた。