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何が有馬記念Vのエフフォーリアと3着クロノジェネシスの明暗を分けたのか…横山武史騎手が仕掛けた2周目3コーナーの駆け引き

「公式会見でも言ったとおり天皇賞が120%くらいだったんで、それに比べると落ちる感じだったが、高い能力を持った馬なので8、9割の力を出せれば十分勝負になると思っていた。いい結果が出て良かった」

 笑顔なき会見で横山騎手は、エフフォーリアの底力を称えた。

 これで7戦6勝、うちG1・3勝。管理する鹿戸雄一調教師は「秋の天皇賞ほどの状態にはなかったが、なんとかそれに近づけようと仕上げてきた。1週前の段階では余裕があったので、今週の追い切りでは3頭の真ん中に入れ、あれで目が覚めた」と懸命の仕上げで臨んだことを明かした。 「2500mは多少心配でしたが、体調さえ良ければ、結果は出せると思っていた」

 そのポテンシャルを信じていた。

 一方のクロノジェネシスの手綱をとったクリストフ・ルメール騎手は潔く完敗を認めた。

「道中はいい感じで走っていたし、手応えも良かった。最後はエフフォーリアの後ろから頑張ってくれたが、あれが精一杯。勝った馬が強かった」

 陣営が不安視していたように昨年の有馬記念を勝ったときのような出来にはなかったのかもしれない。結果、0秒2差及ばず、史上初のグランプリ4連覇を逃した。クロノジェネシスは最終レース終了後に引退式に臨み、落馬負傷で療養中の北村友一騎手も駆け付け「この馬の成長には驚かされるばかりだった。一戦ごとにどんどん良くなった」とパートナーに別れを告げた。

   今年の横山騎手の快進撃には目を見張るものがある。この日の有馬記念で5着に逃げ粘ったタイトルホルダーとのコンビでも菊花賞を勝っており、今年G1・4勝。さらに19日には、初の年間100勝を突破した。油断による騎乗停止はいただけないが、気持ちの切り替えの早さと勝負勘の良さは天性のものがある。

 ブレイクのきっかけになったのが、G1初騎乗となった2019年の日本ダービーではなかったか。リオンリオンに騎乗したが、この馬を管理する松永幹夫調教師と直前に騎乗停止処分を受けて乗れなくなった父・横山典弘騎手が競馬学校→騎手時代の同期という縁での粋な計らいだった。結果は、15着に終わったが、大舞台の経験を踏み台にステップアップした。

 「この馬(エフフォーリア)とはうれしい思いも悔しい思いもしました。これからもひとつひとつ積み重ねていきたい」

 今年の日本ダービーでは1番人気に支持されながらハナ差でシャフリヤールの2着に敗れた。横山騎手が言う「悔しい思い」とは、そのレースだ。だが、その敗戦が人馬共に次戦への糧になった。  この日、引退式を行ったクロノジェネシスをはじめ、今シーズンはコントレイル、グランアレグリア、ラヴズオンリーユーなどの名馬が次々とターフに別れを告げた。

 現役最強馬の称号を手にしたエフフォーリアの次走は現時点では未定だが、鹿戸調教師は「東京でも中山でも結果を出してくれる素晴らしい馬。気性は穏やかで興奮するようなタイプではない。これからは受けて立つ立場。勝ちにこだわっていきたい」と来シーズンを見据えている。

 中距離の大阪杯になるのか、それとも一気の距離延長となる天皇賞・春でさらなる高みを目指すのか、さらにはドバイ挑戦の可能性もあるだろう。2022年のJRAの主役として23歳の横山武史と、明け4歳のエフフォーリアのコンビが日本の競馬をリードしていくのは間違いない。

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