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阪神の矢野監督は佐藤輝明をスタメンから外して守備に不安のあるマルテを使った(写真は資料)
阪神の矢野監督は佐藤輝明をスタメンから外して守備に不安のあるマルテを使った(写真は資料)

「なぜサトテルを外してマルテが先発?」…”守り勝つ”が鉄則のCSで阪神・矢野監督の超攻撃的采配が“裏目”に出てヤクルト王手

 セのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第2戦が13日、神宮球場で行われた3位からの“下克上“に挑む阪神が、連続日本一を狙うヤクルトに3-5で敗れ、ヤクルトの優勝アドバンテージを含め対戦成績が0勝3敗となり王手をかけられた。矢野燿大監督(53)は不振の打線をなんとかしようと佐藤輝明(23)を外して、守備に不安のあるジェフリー・マルテ(31)を「5番・三塁」で起用したが、采配は裏目。短期決戦用の戦略も、来季につながるものも何もない不毛な敗戦となった。

 マルテの守備ミスからオスナに2ランを献上

 

 スタメン表を見て驚いた。矢野監督はレギュラーシーズンの143試合すべてに先発出場させた佐藤を外してマルテを「5番・三塁」でスタメン起用したのだ。マルテの三塁は今季一度もなく、しかも膝に不安を抱えていて俊敏には動けない。打力優先はわかるがリスクのある起用だった。
 故・野村克也氏の薫陶を受けた楽天、巨人、西武などでコーチ経験のある新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏は、「短期決戦は両チーム共にいいピッチャーをどんどん注ぎ込んできて、早めの継投になるのでロースコアの戦いになる。先制点にこだわり、守り勝つことがゲーム戦略の基本になる」と、短期決戦の戦い方を説いていたが、負ければ王手の“崖っぷち”に追い込まれた矢野監督が打った手は、その“鉄則”に逆行するものだった。
 佐藤は、今季サイスニードに7の0、3三振と苦手としている。加えて、前日の第1戦では第2打席から3打席連続三振。ヤクルトバッテリーの手のひら
の上で転がされた。絶対に落とせない試合で、指揮官が佐藤に期待できなかった気持ちもわからないではないが、その采配は裏目に出た。
 1回にトップの中野が三塁打で出塁。一死から近本がタイムリーを放ち先取点を取り、なお一、二塁とチャンスが続いたが、マルテはサイスニードのストレートに差し込まれて三塁ファウルフライに終わり、続く原口も内野フライに倒れて1点止まりだった。
 先発の藤浪は先制点をもらったが、3回二死一塁で、村上にフルカウントから外角低めに投じたストレートを逆方向に運ばれ逆転2ランを許した。「最も長打の危険性が低い」とされるコースを打たれたのだから藤浪を責めることはできないが、全球外角では、村上も狙いやすかっただろう。ベンチからの配球の指示があってもよかった場面である。
 雨の神宮で流れはヤクルトへと傾きはじめた。
 そして危惧していた不安が露呈したのが5回である。先頭の山田の三塁を強襲する打球をマルテが止めることもできず打球はレフトへ転々としたのだ。記録は二塁打だが、打球は正面。記録に残らないエラーだ。
 だが、マルテに罪はない。彼を三塁で起用すれば、起こり得ることが起きたに過ぎないのである。
 続く村上はサードフライに打ち取ったが、捕球したマルテのグラブからボールがこぼれかけていた。そして2番手の西純は5番のオスナに手痛い一発を浴びた。スコアは1-5と広がった。
 マルテは7回、9回と犠飛で2打点をマークしたが、この自らのミスで誘発したオスナの2ランで差し引きゼロ。ゲームの流れの中での失点の重さを考えればマイナスだろう。
 矢野監督は、捕手出身の監督とは思えないほど守りへの意識が薄いように思える。CSファーストSでは、大山にライト、レフト、ファーストを守らせ、不慣れなライトでミスが出て、シーズン中同様にライト、サードと“ウロウロ”した佐藤もサードの守備でエラーするなど“守備シャッフル”による悪影響が出ていた。レギュラーシーズンでは5年連続で失策数はリーグワースト。結局、在任中に課題は何も解消されなかった。

 

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