「なぜサトテルを外してマルテが先発?」…”守り勝つ”が鉄則のCSで阪神・矢野監督の超攻撃的采配が“裏目”に出てヤクルト王手
矢野監督が標榜した超積極野球とは、走れる選手を使う機動力野球であり、1点を奪いにいく野球である。であるなら、その1点を守りきる意識が重要となる。しかし、指揮官自らが洗面器に穴を開けるような布陣を選ぶのだから“水が漏れる”のも当然だろう。
スタメンを外された佐藤は6回二死二塁に代打で出場して四球を選んだが、8回無死一塁には外角のストレートに手が出ずに見逃しの三振に倒れた。
前日にテレビ解説をした元メジャーリーガーの松井秀喜氏は「今の打ち方じゃ何回やっても打てない」と苦言を呈し、この日、ラジオ解説を行った次期監督に内定している岡田彰布氏は「インコースが弱いと思われているから、内角へのストレート系のボールが多い。そこばかりに目付けするから簡単に外の真っすぐを見送ってしまう」と指摘。
「打てないところを打てるようにする必要はないんですよ」「自分のスイングできないから飛ばないんよ」と付け加えた。
確かに今の佐藤は何かを期待できる状況にはない。
だが、CSファーストS第3戦では貴重な1発をバックスクリーンに放り込んだ。狭い神宮球場だけに“間違い”が起きる可能性はある。
矢野監督は、CSの舞台で使うには、まだ実力不足だった19歳の高寺をファーストSの第2戦でスタメン起用した。新生岡田阪神への“置き土産“”として若手に経験を積ませたように思えたが、一方で来季に向けて、この修羅場を体験させておかねばならない佐藤を外すのだから方針がブレブレで何をしたいのかがさっぱり見えてこない。
ある阪神OBが、皮肉を込めてこんな話をした。
「ある意味、矢野野球の4年間を象徴するようなゲームだったなあ」
いよいよ本当の崖っぷちとなった今日の第3戦の先発はファーストSの第1戦で好投したエース青柳とヤクルト高橋のマッチアップ。相手は左腕。矢野監督は、また佐藤を外してマルテをスタメンで使うのだろうか。
(文責・RONSPO編集部)