「審判を敵に回すな」が持論のノムさんが要注意人物としてリストアップ…いまだ燻る白井審判の佐々木朗希への”詰め寄り問題”
橋上氏は、2014年の阪神―ソフトバンクの日本シリーズでの白井球審のジャッジに、今回の佐々木への詰め寄り問題との共通点を感じるという。
阪神が1勝3敗とソフトバンクに王手をかけられて迎えた第5戦。0-1のスコアで迎えた9回一死満塁から、西岡剛が、一塁へのゴロを放ち、三塁走者が本塁封殺された後、白井球審は、打者走者の西岡が「ファウルラインの内側を走った」という守備妨害を取ってゲームセットとなったのだ。この際にも、このジャッジを巡って賛否が起きた。
「厳密に言えば守備妨害ですが、意図的に邪魔をしようとして走ったわけではなく、よくある走塁であの程度の走塁で守備妨害は取りませんよ。それも日本シリーズの重要な局面。どんな場面であろうと徹底して忠実に“”法の番人”の仕事を遂行した審判だとも評価できるのでしょうが、あえて注目を集めるところでより厳しく審判の権威を訴えるような判定をする傾向にある人だと感じました。完全試合を成し遂げ、次の試合も8回まで完全試合を続けて、世間の注目を浴びている佐々木投手だからこそ、より厳しく対応したという可能性もありますね。舞台設定が似ているんです」
”ノムラID”を知り尽くす橋上氏は、今回の白井球審の詰め寄り問題について「わざわざタイムを取って試合を止めてまで、顔色を変えて若い選手に詰め寄っていくのは、さすがにやりすぎだと思いました。野村さんも、井口監督のように佐々木投手を守るために、抗議に出たでしょう」という感想を抱く。
だが、一方で佐々木に問題があった可能性も否定できないという。
「佐々木投手が詰め寄られた場面を映像で見ましたが、伏線はあったでしょうし、審判側からの目線でないと、佐々木投手がどう不服な態度を取っていたのかの判断は難しいですね。あの回だけで言えば、苦笑いを浮かべたり、抗議する意図はなく、1、2歩くらいマウンドを降りたくらいで、問題にするほどの不服な態度には見えませんでした。ただ異常を察した松川捕手が、すぐに止めに入ったということは、捕手や審判の目線から”もしかしたら”と感じるような態度が佐々木投手にあったのかもしれません」
公認野球規則の「8.01審判員の資格と権限」の(d)に「審判員は、プレーヤー、コーチ、監督または控えのプレーヤーが裁定に異議を唱えたり、スポーツマンらしくない言動をとった場合には、その出場資格を奪って、試合から除く権限を持つ」とある。
白井審判が、一切コメントを出さないので、自信を持って投じた外角球をボールと判定された佐々木が浮かべた「苦笑い」や「おい!」と声を出して1、2歩マウンドを降りた行為を、この「異議」や「スポーツマンらしくない言動」に抵触したと判断したのか、どうかもわからない。だが、もしそう拡大解釈して、マウンドに詰め寄ったのであれば、今後球界を背負って立つスーパースターになっていく佐々木にとって、グラウンドには“第3の敵”にも”第3の味方”にもなる相手がいることを知る教訓となったことは確かだろう。
「野村さんが言うように審判を敵に回して得することはひとつもありません。審判を”第3の敵”ではなく、”第3の味方”にすることなんです。佐々木投手は、興奮して審判にケンカを売るような性格には見えませんが、18.44メートルをうまく使って審判とのコミュニケーションを取ればいいのです。要注意審判は2人しかいませんから(笑)。今後の登板では自信を持ってプレーしてもらいたいですね」
橋上氏は、そう佐々木にエールを送る。
現在、登録を抹消されている佐々木は6日から本拠地のZOZOマリンで行われるソフトバンク3連戦で先発復帰する予定だ。 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)