なぜ「ティモンディ」高岸宏行の独立リーグ栃木GB入団が決まったのか…「芸人の球じゃない」トライアウトで見せたフォークと修正能力
すぐさま元巨人の寺内崇幸監督(39)から合格が伝えられた。
「まだまだ練習ができていない中で三振を取れるボールがあり、最初は制球に苦しんだのに終盤に修正できる能力がある。(独立リーグへの挑戦は)ビックリしたが、本人と話をすると本気の姿がうかがえた。挑戦は、本人にもチーム、選手、地域の子供たちにとっても大きな意味がある。30歳でもやればできる姿を見せてほしい」
そもそも高岸は“名門“済美高の野球部出身で、最速147キロ、本塁打も高校通算20本をマークしている“本物”で育成ながらドラフト候補になったことがある。プロを目指して、多くのプロを輩出している東洋大へ進んだが、故障で野球を断念。高校時代の野球部の同級生、前田とコンビを組み、お笑いの道へ進んだ。ただ野球のトレーニングは続けており、始球式に呼ばれる機会も多く、最速は142キロをマークしている。 「(今も)練習では143キロくらい。心の球速は180キロは出ている」と言って笑わせた高岸は「気持ちだけは自信をもっている、魂球を投げ込みたい」と続けた。
BCリーグは9月まであるが、チームは現在18勝18敗5分けで南地区で4チーム中3位と苦戦している。元日ハム、巨人の左腕、吉川光夫も所属しているが、チーム防御率5.11はリーグ最下位。そこが補強ポイントでもあった。25日からの練習に合流予定だが、お笑いの仕事の合間を縫ってのスケジュール調整となり、まだ具体的なデビュー日は決まっていない。芸人か、野球か、どちらに軸足を置くかと聞かれた高岸自身は「すべてが軸足です」と答えた。本人は、先発、中継ぎの両方での登板を希望しており、成瀬氏も「(調整が)万全なら先発で。中継ぎ、抑えもやらせてみたい」という。
また野手では、ソフトバンク、メジャーリーグで活躍して2年前にチームと契約した“ムネリン”こと川崎宗則(41)が所属しており、トライアウトでは、バックを守り大きな声で高岸を激励した。
2人はクールダウンの際に話す機会があり、川崎に「やりたい投球は何?」と聞かれ「みんなに勇気を与えられる魂を込めた球を投げたいんです」と返すと「それだけを徹底すればいい。あとは僕らを信じてやってもらえればいい」というエールをもらった。
独立リーグには地域への貢献と同時にNPBを目指す予備軍としての側面がある。だが、高岸はNPBについては「現時点では考えていない」と語り、こう決意表明した。
「目標は残り試合全勝でいきます。独立リーグの選手として1球、1球に命をかける。こうなりたい、ああなりたいよりも、1球でいかに応援できるか、エールを送れるかしか考えていない。人間なんでミスショットもあると思う。でも100球あれば、100球魂を込めて。得意球の”エール球”で押せるピッチャーになりたい」
背番号「16」は、本人の希望で決まったわけではないそうだが、「星飛雄馬の背番号でもあり光栄です」と、懐かしの”スポ根”マンガ「巨人の星」の主人公の名前を出して笑わせた。
質問者が「栃木の星になるわけですね?」と絶妙の“ツッコミ”をすると「栃木の星はみんなだ!」と、ボケではなく“本気の目”をして、そう宣言した。