なぜ“カネロ”アルバレスは3-0判定でゴロフキンとの3度目対決に勝利できたのか…終盤猛追も敗れたGGGは現役続行を宣言
カネロはゴロフキンの終盤の反撃を予測していたという。
「ゴロフキンが後半に盛り返してきたことに驚きはなかった」
敗れたゴロフキンもリングでインタビューに応じ「2人の綺麗な顔を見ればわかると思う。2人が高いレベルでボクシングをした結果だ。これまでの2試合と違うのはチェスのような頭脳戦だったということ。今日は、カネロのほうがベターだった。後半に行くのは作戦だった。手応えは悪くなかった」と、潔く負けを認めた。
そして「彼は最高のファイターだ。握手をしたい」と、腕を交差させて固く握手。試合前に繰り広げた舌戦での遺恨のわだかまりを解き、互いに抱き合って健闘を称え合った。
カネロは4月にライトヘビー級に挑戦して判定で敗れたビボル戦でも終盤に失速していた。ガードの上から打っても相手を破壊するような強打を連発するゆえ、どうしても後半にパワーダウンする。ゴロフキンは、その弱点を見据えた上で、序盤は、ディフェンス重視の“我慢のボクシング”でカネロにパワーを吐き出させて終盤に勝負をかける作戦を練ったのである。
ゴロフキンの豊富なキャリアと高度なスキルがあるからこそ実行できた戦略ではあるが、悲しいかな40歳のボクサーには、階級の壁を乗り越えるほどの一発逆転のパンチ力はなかった。あと2ラウンド早く攻撃的なボクシングに戦術を変更していれば、さらに判定は微妙なものになっていたのかもしれない。 2人のライバル物語に決着はついた。気になるのは2人の今後だ。
ゴロフキンには「敗れると引退するのではないか?」の憶測が飛び交っていたが、リング上で「戦いを続けるのか?」と聞かれ「もちろんだ。今もミドル級のベストを持っている。カムバックしてくる」と現役続行を宣言した。今後は、WBAとIBFのベルトを持つミドル級に戻り、WBC、WBO王者との統一戦や、注目ファイターとのビッグファイトという新たな戦いに挑むことを明かした。
一方のカネロも「次なる目標はビボルとの再戦か?」と質問され「もちろんだ。私は彼を倒す。だが私には休みが必要だ。体の腕や体の力を戻して、これまでよりも強くなって戻って来る必要がある」と、ビボルとのリベンジ戦を熱望した。
ただビボルは11月5日にUAE・アブダビで指名挑戦者で元WBO世界スーパ―ミドルきゅ王者のヒルベルト”スルド”ラミレス(メキシコ)との防衛戦が決まっていて、その行方を見守ることになり、カネロ自身のコンディションの再整備も必要になってくる。いずれにしろ来年になるだろう。
中量級のひとつの時代を作ってきた2人のライバル物語は、互いに戦いの舞台を変えて続いていくのかもしれない。