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プロ注目の近江・山田陽翔が5失点と下関国際に攻略され準決勝敗退(写真・日刊スポーツ)
プロ注目の近江・山田陽翔が5失点と下関国際に攻略され準決勝敗退(写真・日刊スポーツ)

なぜドラ1候補の近江・山田陽翔は下関国際打線に攻略されたのか…徹底したノーステップ打法と用意周到な継投策

近江も反撃し2-2の同点で迎えた6回である。  仲井、賀谷に連続四球。低めに集めた変化球に手を出してくれなかった。「中盤以降見極められた」(坂原監督)と、三回り目に入った下関国際打線は、確実に山田の球筋を見切っていた。無死一、二塁。水安勇の一塁側へのバントにチャージをかけてきた石浦暖大が迷わず三塁へ投げるが間に合わない。無死満塁の絶体絶命のピンチに山田はギアチェンジした。  奥山晃大を力で押して3球三振。最後の釣り球は146キロが出ていた。  一死満塁で森凜琥を迎え、外角低めのストライクからボールゾーンへ誘うスライダーを続けて空振りを奪い、2球で追い込んだ。  山田は三振を狙っていた。  プロのスカウトが「ギアを上げて三振を取りたいところで三振を取れる」と評価する山田の真骨頂である。  だが、勝負にいった高めのストレートをノーステップ打法で“食らいつく”森にファウルにされた。続く4球目も高めのストレート。森は逆方向を狙っていた。体を開きながら腕をたたみ右へと追っつけた打球がライト線へ。決勝の2点タイムリーツーベース。スピードガンは、この日、最速の148キロを示していたが、バランスを崩し浮いたボールに森の金属バットを押し返す威力はなかった。  それでも山田の心の糸はキレなかった。山下、橋爪はカットボールで連続三振。この回のアウトはすべて三振だった。  7回にもバスターを絡められ、無死一、三塁のピンチに仲井にセンターへの犠飛を許した。二死を取り水安に、この日7つ目の四球を与えたところで多賀監督は、降板を告げて星野世那へバトンタッチした。132球。今大会を通じて644球を投げ山田は力尽きた。  下関国際は、8回にも連続スクイズなどの猛攻を仕掛けて3点を追加。近江を突き放して死闘にケリをつけた。 「粘り強く全員がやった」  坂原監督は、そうナインを称えた。  下関国際が徹底した“ピラニア野球”が、ドラフト1位候補を攻略した。山田は、「下関国際は1人1人が考えていて、すごく投げづらかった」と完敗を認めた。  坂原監督の名采配も見逃せない。  先発の古賀康誠が2回に連続四球を与えると早くも大阪桐蔭戦でも救援から無失点に抑えていた仲井にスイッチしたのだ。 「ここ3試合とも古賀が立ち上がりに苦しんでいた。リードされたくない。早めの継投で準備させていた」  用意周到な継投策。  仲井も試合前にブルペンに入り肩を作っていた。

「ショートからいつでもいける。予想はしていました」

 

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