なぜヤクルトはオリックス“絶対エース”山本由伸の攻略に成功したのか…先制点は「ファウルでは？」とネット騒然の“疑惑打球”

　高代氏は、「ヒット数は互いに10本。それでも差が出たのは1番と5番の違い。そこが勝敗を分けたと思う。4番の吉田正、村上をどちらのチームも警戒するために5番打者が重要になってくるが、そこに差が生まれた」と指摘した。
　ヤクルトの1番の塩見は、本塁打を含む3安打、5番のオスナも一発を含む3安打で全打席出塁。一方のオリックスの1番福田は2回に押し出し四球を選んだものの４打数ノーヒット。5番の杉本は、4番の吉田正が、3四球1安打で4度も出塁して、走者を置いた場面で打席に立ったが、ノーヒットに終わっている。7回は、二死一塁で田口に裏をかかれてインコースのストレートに手が出ず、一発が出れば逆転の9回一死一、二塁のチャンスにもマクガフのストレートに空振りの三振。スプリットが頭に残っていたような中途半端なスイングだった。「その差を作ったのは中村の経験からくるインサイドワーク」と高代氏は分析した。随所に見える”高津ID”の勝利だった。
　8回には村上にシリーズ1号も飛び出した。平野の落ちきらなかったフォークを見逃さずライトスタンドへ運んだ。8回にオリックスが2点差にもかかわらずバントで走者を進め、代打T-岡田のセンター前にポトリと落とすタイムリーで奪い取った1点を帳消しにする価値あるホームラン。高津監督も「そんな簡単なボールじゃなかったと思う。2点差に広げた非常に大きい一発だったと思う」と称えた。
　高代氏は“村神”にシリーズの初戦で本塁打が出たことが、この先の流れに大きな影響を与えると考える。
「短期決戦は、どれだけシーズンで結果を残した凄いバッターでも“逆シリーズ男”で終わる危険性があるもの。その点、4三振の山田が心配だが、村上に一発が出て、この先、変なプレッシャーを感じることなく打席に立てるのは大きい。1番、5番が好調で、村上まで打ったのだから、一気に勢いに乗っていく可能性も出てきた」
　ヤクルトは連覇へ向けて大きなアドバンテージを得てスタートを切った。
　第2戦の先発はヤクルトがサイスニード、1勝1敗のタイにしてDH制のある本拠地に戻りたいオリックスは、宮城ではなく、今季5勝8敗、防御率3.45の左腕、山崎福を先発に立てる。昨年の日本シリーズ第5戦で、先発した山崎福は村上に1発を浴び、2失点で6回途中でマウンドを降りている。
（文責・RONSPO編集部）