なぜヤクルト村上宗隆は12試合53打席ノーアーチの“56号スランプ“に陥ったのか…3冠もピンチで残り3試合
また42打数のうち四死球が12個。そのうち5つが申告敬遠である。四球攻めにも動じてこなかったが、それがさらなる焦りを誘引することになっている。
バッティングを狂わせる原因となっているメンタルには、25日の横浜DeNAで決めた優勝も「影響しているのでは?」と橋上氏は見ている。
「村上は個人の記録よりチームの勝利を最優先にしているバッター。それだけに優勝が決まったことで、集中力がどこかで切れてしまったのかもしれない。優勝後の3試合で7三振。さらに三振が増えている」
確実視されていた松中信彦氏以来、18年ぶりとなる“3冠王“にも黄色信号が灯った。この日のヒットで、13日の巨人戦後には.337あった打率の低下をかろうじて.317に留め、首位打者争いをしている中日の大島が4打席ノーヒットで.314に下げたため、トップをキープしたが、ライバルに固め打ちでもされれば、一気に抜きさられる危険性がある。
「村上は56号を狙うから、本塁打が優先で、打率が大島より上にきた時点でも、休むわけにはいかないので打率争いでは不利かもしれない」と橋上氏。
残りは3試合。村上は王貞治氏を超えることができるのだろうか。
残り3試合は、今日30日の広島戦(マツダ)、10月2日の阪神戦(甲子園)、3日の横浜DeNA(神宮)である。広島の先発は九里で、今季は10打数で2本塁打を放っている相性のいい相手。阪神の先発は、西純が予定されており、こちらは6打数1安打ノーアーチである。
橋上氏は、こう期待する。
「気持ちをどう作るか。配球の読みを整理し、スイングを見直し、ホームランを意識せず、一打席、一打席に、いかに集中できる環境を整えるか。このまま終わる危険性もあるが、何かのきっかけさえあれば大丈夫だし、誰もが期待している。打って欲しいですよ」
もし切羽詰まれば「1番・村上」という最終手段を試みてもいいのかもしれない。
(文責・RONSPO、スポーツタイムズ通信社)