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日本代表は来年のW杯開削国で世界3位のフランスを相手に残り9分までリードを奪うが歴史的1勝を目前に逆転負けを喫した。ビデオ判定で覆る幻の同点トライも(写真・松尾/アフロスポーツ)
日本代表は来年のW杯開削国で世界3位のフランスを相手に残り9分までリードを奪うが歴史的1勝を目前に逆転負けを喫した。ビデオ判定で覆る幻の同点トライも(写真・松尾/アフロスポーツ)

なぜラグビー日本代表は歴史的金星を目前に世界3位の来年W杯開催国フランスに逆転負けを喫したのか…幻の同点トライと収穫

 新戦力の躍動もあった。

 今回は日本大会時の主力だったナンバーエイトの姫野和樹、センターの中村亮土、ウイングの松島幸太朗らがコンディション調整のため不参加となり、ベテランと若手がバランスよく入り交じったチームとなった。選手層を拡げる好機だった。

 齋藤は、共同主将となる予定の流大と定位置を争っていた。その流が途中離脱を余儀なくされるなか、スピード感とゲームコントロールで好アピールができた。

「今回は、プレータイムをもらえた。経験に勝るものはない。どこが成長したかはわかりませんが、確実に成長したと思います」

 さらにスタンドオフでは、21歳の李が2戦続けて先発。今季初代表ながら、落ち着いてラン、キック、パスを織り交ぜた。

 司令塔団を組んだ齋藤は「自分が、(李に)支えられた 」と感心した。 元主将のリーチ、前主将のピーター・ラブスカフニのポジションであるフランカーでは、昨季から代表入りのベン・ガンターが好ジャッカルを連発した。

 齋藤 、堀江ら4人の新型コロナの陽性反応者が出るなど、調整は難しかったが、そのピンチを乗り越え、フランスを後一歩まで追い詰めるまでにチームをまとめたのが、坂手らのリーダーだった。リーチが称えた。

「何があるかわからない状況が続くなか、誰が出てもパワーを出せるようにしてきた。坂手中心に、いいリーダーシップを発揮できた」

 日本代表は9月に大型スコッドによるキャンプから再スタートする方向。11月12日には、次のワールドカップでぶつかるイングランド代表と敵地トゥイッケナムスタジアムで激突。続く20日にはスタジアム・ド・トゥールーズでフランス代表と再戦する。

 ホームのフランス代表のメンバーは今回の若手から本番想定のメンバーに切り替わる可能性があり、昨年の世界最優秀選手に選ばれたスクラムハーフのアントワーヌ・デュポンが出てくるかもしれない。  一方の日本代表もベストメンバーが揃う可能性があり、リーチが、「(負傷などから)帰ってくる選手もたくさんいると聞いている。その時、(今回の選手も)レベルアップできるようにしないといけないです」とリベンジを誓う。 約2年半ぶりに代表復帰した堀江も、こう前を向いた。

「いまの若い選手はまじめに取り組んで、自分たちのやりたいラグビーを理解している」

 秋の欧州遠征は、来年のW杯に向けて日本代表の真価が問われる重要な試金石となる。

(文責・向風見也/ラグビーライター)

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