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元十両スダリオ剛が”シュレック”をカウンターの一撃で沈め、国内ヘビー級最強の座を獲得(写真・RIZIN FF)
元十両スダリオ剛が”シュレック”をカウンターの一撃で沈め、国内ヘビー級最強の座を獲得(写真・RIZIN FF)

なぜ元十両スダリオ剛は衝撃の53秒TKOでRIZIN国内ヘビー最強の座を射止めたか…皇帝ヒョードルと対戦熱望も榊原CEOは却下

 

総合格闘技イベント「RIZIN.37」が7月31日、さいたまスーパーアリーナで開催され、大相撲出身のスダリオ剛(25、HI ROLLERS ENTERTAINMENT/PUREBRED)がヘビー級の看板ファイター、関根“シュレック”秀樹(48、ボンサイブルテリア)から衝撃的なTKO勝ちを収めた。1Rわずか53秒で、こめかみをとらえた左フックで120kgの巨体を沈めた。世代交代の雄叫びをあげたスダリオは外国勢との対戦を熱望。レジェンドのエメリヤーエンコ・ヒョードル(45、ロシア)の名前をぶち上げた。

「すべてが自分のなかで想定していたこと」

スダリオ剛はとどめの一発は打たずメンタルの成長も見せた(写真・RIZIN FF)

 リングの上を支配していた静寂が、突然の終焉を迎えた。

 下がりながらローキックを繰り出す関根に対して、スダリオが難なくかわしながら前蹴りを見舞う。しかしながら、ともにクリーンヒットがない状況で、いつのまにかロープを背負っていた関根がたまらず前へ出た刹那だった。  狙いすましたスダリオの左フックが、関根のこめかみを直撃する。その場に崩れ落ちた120kgの巨体へ、すかさず右のグラウンドパンチで追い打ちをかける。さらにスダリオが右手を振り上げた直後に、レフェリーが試合を止めた。

 わずか53秒間の“秒殺”に、スダリオはシナリオ通りだと胸を張った。

「すべてが自分のなかで想定していたことでした。シュレック選手がいろいろと工夫してくるのはわかっていましたけど、それができないような闘いを自分ができる自信があったので。なので、まったく心配もありませんでした」

 静岡県警の元丸暴刑事から、40代にしてプロ格闘家へ転向した異色のキャリアを持つ関根の述懐を聞けば、スダリオに操られた53秒間が鮮明になってくる。

「何か月も一生懸命練習してきましたけど、コツコツと努力を積んでも報われないものがあるんだな、と。自分も前回の試合からかなり打撃も上手くなり、人生でいまが一番強いと自信を持っていましたけど、前回までのスダリオ選手の試合からこちらが予想していたものよりも、もっとすごいものを持ってきた。予想以上の強さでした」

 関根はカウンターでペースを手繰り寄せる作戦を立てていた。しかし、青写真はゴングが鳴った直後に崩壊していたと関根は打ち明ける。

「スダリオ選手の打撃の距離になったときに自分もカウンターを合わせようと思って、ずっと待っていたんですけど、結局、打ってこなくて。そのうち彼にプレッシャーをかけられて、自分が前へ出るところをかわされたところまでは覚えているんですけど」  気がついた瞬間に関根の視界に飛び込んできたのは、さいたまスーパーアリーナの天井だった。様子見に映った静かな流れを一変させ、一瞬ながら意識を飛ばされた強烈な左フックに、関根は「決して出会い頭でもらったものではない」と脱帽した。

「スダリオ選手の方が我慢強かったし、彼がかけてくるプレッシャーの方が上回っていたからこそ、自分はロープ際に追い詰められて先に手を出させられた。明らかに彼の作戦であり、狙っていたもの。なので、偶発的なものではないですね」

 関根のカウンターを封じるために、スダリオはオーソドックス(右利き)とサウスポーを頻繁に繰り返す、いわゆるスイッチを織り交ぜながらプレッシャーをかけ続けた。距離感が合わないのだから、関根はパンチの繰り出しようがない。

 

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