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元十両スダリオ剛が”シュレック”をカウンターの一撃で沈め、国内ヘビー級最強の座を獲得(写真・RIZIN FF)
元十両スダリオ剛が”シュレック”をカウンターの一撃で沈め、国内ヘビー級最強の座を獲得(写真・RIZIN FF)

なぜ元十両スダリオ剛は衝撃の53秒TKOでRIZIN国内ヘビー最強の座を射止めたか…皇帝ヒョードルと対戦熱望も榊原CEOは却下

ほとんど手を出さずとも相手をコントロールし、心身両面で追い詰め、ついには自滅を誘発した末につかんだ勝利を、スダリオは胸を張ってこう振り返った。

「僕は左右両方でできるようにしようと思っていて、試合でどんどん使っていこうと思っていました。関根選手だから、ああいう戦い方にしたというのもあります」

 元十両の貴ノ富士時代には将来を嘱望されたスダリオにとって、関根戦は約9ヵ月ぶりに上がったリングだった。昨年11月の練習中に左ひざを負傷し、手術を受けたスダリオはリハビリ期間中も自らにウエイトトレーニングを課し続け、完治してからは渡米して武者修行を敢行。怪我をする前よりも強い自分を目指していた。

 スダリオが離脱している間にシビサイ頌真(31、パラエストラ東京/巌流島)、スダリオの双子の弟・貴賢神(25、フリー)を連破。48歳にしてヘビー級の看板ファイターを拝命していた関根は、衝撃的なTKO負けの直後にこんな言葉を残している。

「これで国内最強の座はスダリオ選手に移ったわけですね」

 スダリオ自身も、次なる標的を日本から世界へ上方修正したのだろう。勝利した直後のマイクパフォーマンスと同じ言葉を、記者会見の席でも繰り返している。 「日本人との対戦はもう卒業して、外国人選手と面白いカードを組んでもらえたら」

 会見ではさらにこんな質問も飛んだ。実際に戦いたい外国人選手はいるか、と。スダリオは「勘違いしている、と言われるんですけど」と波紋を呼ぶのは承知の上だと断りを入れながら、総合格闘技界のレジェンドで、元PRIDEヘビー級王者の名前をあげた。

「引退が近いヒョードル選手とやれるのなら、やらせてもらいたいと思っています。やはりPRIDEであれだけすごかった選手ですし、名前があって引退していない海外の選手が大勢いるなかで、世代交代という意味でも僕が引退に追い込んでいければ」

 すべてのカードを終え、総括会見に臨んだRIZINの榊原信行CEOは、スダリオの仰天発言に「ヒョードルというものではないだろうな」と苦笑しつつも、早ければ9月25 日の「RIZIN.38」でスダリオが望む外国勢との対戦を検討すると明かした。

「外国勢とわたり合えるヘビー級の日本人選手を作り出したい、というのがRIZINのテーマでもある。シュレック選手にああいう形で一方的に勝った彼を非常に高く評価しているし、もう少し長く見たかったという思いもあるなかで、彼の可能性をしっかり検証できるような外国勢とマッチアップさせたいと考えている」

 昨年3月の「RIZIN.27」で、プロレスラーの宮本和志(43、超硬派武闘集団和志組)からKO勝利を収めたスダリオはレフェリーの制止を振り切り、終了を告げるゴングが鳴った後も失神した宮本にパウンドを浴びせ続けた。

 前代未聞の行為は乱闘騒動を招き、スダリオにはレッドカードとファイトマネーの25%に相当する罰金が科された。復帰戦で関根をダウンさせた際もさらに右腕を振り上げていたが、レフェリーに止められなくても拳は振り下ろさなかったという。

「左が入って、一発右を入れて上へ向けた瞬間、シュレック選手の目が飛んでいて。もう無抵抗だったので、これ以上、入れたらやばいなと思って止めました」

 ちょっぴり“大人”になった証というべきか。身長190cm体重115kgの巨体に強さと激しさ、相手をコントロールする術を含めた冷静さをも脈打たせるスダリオが秘める可能性は、いよいよ国内レベルを超越しようとしている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)

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