なぜ元木ヘッドは“壊れた信号機”に?…5連敗“ドン底”巨人の象徴シーン
巨人が10日、新潟で行われた横浜DeNA戦に1―3で敗れて連敗が5に伸び、4位の中日に0.5ゲーム差に迫られBクラスへの転落危機となった。 先発の山崎伊織(23)が立ち上がりの1回に3失点、打線もフェルナンド・ロメロ(27)に7回4安打1失点と抑えられたが、7回二死一塁から大城卓三(29)の右中間二塁打で一塁走者の中田翔(33)を三塁コーチャーの元木大介ヘッド兼オフェンスチーフコーチ(50)がアウトのタイミングで本塁へ突入させる指示ミスも響いた。巨人の苦闘を象徴するシーンだった。
中田の走力とカットマン牧の肩を考慮したか?
新潟のGファンにとっては悪夢だったに違いない。
7回だ。この日、1軍昇格し「6番・一塁」で先発起用された中田が二死からバットを折りながらも執念でセンター前へ打球を落として出塁した。ここまでロメロが低めに丁寧に集めるツーシーム、チェンジアップに苦しみゴロの山を重ねていた巨人打線だったが、続く大城は、そのチェンジアップを捉えて右中間を真っ二つに割った。
三塁コーチャーの元木ヘッドは、腕をグルグル回して、一塁走者の中田の本塁突入を指示した。ライトの楠本からセカンドの牧がカットに入ってワンバウンドでバックホームされた送球は、少しだけ三塁側にそれた。だが、捕手の山本がキャッチして待ち受けるところに、ちょうど中田がスライディングしてくる形となって余裕のアウト。反撃のチャンスを潰してしまった。大事な走者を本塁で憤死させてしまった元木ヘッドは、思わず悔しそうな表情を見せた。
2アウト。回すのはセオリーである。だが、オフから体重を増やした中田の足は動いていなかった。タイミングもボールがよほどそれない限りアウトである。
WBCで2度JAPANの三塁コーチを務めるなど、三塁コーチとして高い評価を得ていた評論家の高代延博氏は、「私も三塁コーチをしていたので元木ヘッドの判断の難しさは痛いほどわかる。結果論で批判はしたくないが、疑問の残る判断」と指摘した。
「まず回す材料があったのかどうか。2アウトで代打勝負にはなるが次は下位打線。しかも打線が低調で点が取れない。1点差に詰め寄っておきたいとの心情は理解できるが、2点差があって、中田の足と、決していいとは言えなかったスタート、そしてカットマンに入る牧の肩と送球能力を考えると、あのタイミングでは回すべきではなかった。いわゆる我々の世界で言う“2軒先でアウト”というタイミングになっていた」