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天心と武尊の「THEMATCH」の地上波放送が見送られることになった
天心と武尊の「THEMATCH」の地上波放送が見送られることになった

なぜ天心と武尊はフジテレビの放送見送りに怒り落胆したのか…背景にテレビ業界の異常に厳しいコンプライアンス事情

海外のボクシングのビッグファイト、UFCのメガイベントがとんでもないビッグマネーを生み出す仕組みのひとつにPPV放映がある。売り上げの約半分が歩合で支払われ、天心が戦ったことのあるフロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオの2015年の試合では、440万件以上の視聴があり、500億円近くの金額が動いた。日本にも、その流れが来ており、4月9日に行われた村田諒太とゲンナジー・ゴロフキンの歴史的なビッグマッチもAmazonプライムビデオで独占中継され、7日に控えている井上尚弥とノニト・ドネアの世界が注目しているリマッチも同じくAmazonプライムビデオの独占中継で行われ地上波放送はない。ただまだ日本では料金を払ってスポーツを見るという文化が定着していないため、これらの試合は配信側が先行投資する意味で固定の放映権料が支払われているが、その額は、地上波の放映権料に比べて数倍規模だと言われている。

 村田と井上の2人の試合は、奇しくも今回と同じくフジテレビが、これまでずっと放映してきていたため、今回の天心ー武尊戦のようにPPV配信との同時中継、あるいは時間や日時をずらしての録画放映をしたいとの強い要望があったが、ビッグマネーを供出するAmazon側がそれを許さなかった。プロモーター側もビッグマッチを実現するためにはファイトマネーを含めた多大な経費が必要で、村田―ゴロフキン戦の場合は、ゴロフキンのファイトマネーはDAZNがカバー、村田側を含めた、その他の出費はAmazonでまかなうというスキームがなければ無理だった。地上波の放映料では、とうていついていけず、もうファイトマネーが巨額となるビッグマッチは地上波では見られないという流れができつつある。

 RIZINも新型コロナの影響で会場での集客が難しいという状況もあって「ランドマークシリーズ」という配信特化型のイベントを立ち上げるなどPPV型へのビジネススタイルの移行を模索している。

 この日の会見で榊原氏は、「放映料は本当に少ない」と明かし、地上波放送について「経済的なことでのウェイトはずいぶん減っている。プレゼンスも落ちている」との見解も示した。

 それでも榊原氏が緊急会見を行ってまで、地上波放送復活への執着を見せたのは、無料で老若男女問わず誰でも見ることのできる地上波には、まだ日本の格闘技が、メジャー化するために必要な発信力を秘めているからだ。認知度を高める効果。そして入場収入と共にイベント運営を支えるスポンサーを獲得するためにはスポンサー露出が増える地上波放送をセットで営業することには大きな波及効果もある。

 天心と武尊の2人が地上波に対して思い入れを持つ理由も地上波の持つ魅力にある。PPVは見る人が限定される可能性が高く特に高額のPPVを子供は買えない。

 

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