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日ハム新庄監督が熱望した阪神の江越(左)と日ハムの渡邉(右)から始まった2対2の電撃トレードが成立(資料写真・黒田史夫)
日ハム新庄監督が熱望した阪神の江越(左)と日ハムの渡邉(右)から始まった2対2の電撃トレードが成立(資料写真・黒田史夫)

なぜ岡田阪神と新庄日ハムの2対2電撃トレードが成立したのか…背景にあったタイガース魂持つ2人を繋ぐ「思い」と「狙い」とは?

 阪神が18日、日ハムとの電撃トレードを成立させた。阪神からは江越大賀外野手(29)と齋藤友貴哉投手(27)、日ハムからは渡邉諒内野手(27)と高濱祐仁内野手(26)が移籍する2対2のトレード。岡田彰布新監督(64)が現役時代に共にプレーした新庄剛志監督(50)の率いる日ハムとのトレードを決断した背景とは?

 仕掛け人は新庄監督

 

 シーズン終了を待って最終合意に至った電撃トレードは新庄監督からの“仕掛け”が発端だった。新庄監督の「江越が欲しい」との要望を受ける形で日ハムが阪神にトレードを打診。
 阪神は、内野手、特に二塁の右打者が、補強ポイントだったため、2019年から二塁のレギュラーに定着しかけたものの、今季は21試合出場に留まっていた渡邉に目を付けた。
 今季がプロ8年目の江越は、主に守備固め、代走要員として24試合出場に留まったが、3年前に測定したスイングスピードでは、チームトップの数値を叩き出すなど打撃でもパンチ力がある。新庄監督は、その肩、足、パンチ力に惚れこみ、環境を変えれば大化けする可能性があるとの“独特の直感”で獲得を熱望した。
 一方の阪神もプロ9年目となる渡邉を調査していた。
 東海大甲府高から大型内野手として2013年のドラフト1位で日ハムに入団。2019年には132試合で打率.262、11本塁打、58打点、2020年には117試合で打率.283、6本塁打、39打点でレギュラーの二塁をゲットしたが、昨季は打撃不振と怪我もあり、83試合の出場に留まっていた。今季は新庄監督に期待され、オープン戦から二塁、三塁、一塁などでスタメン起用され、日替わり打線をテストしていた4月には10試合にスタメン出場。二塁、一塁を守り、19日の楽天戦では4番まで打った。
 4月の成績は、打率.259、二塁打2本、三塁打1本、2打点の成績だったが、4月22日のソフトバンク戦で右太もも肉離れで登録抹消。1軍再登録は7月までずれこみ、新庄監督に試合前のノックでポロポロとミスをしていたことを問題視され、「試合でも(エラーを)やってしまうから」と、8月8日に2軍落ちを命じられた。結局、今季は21試合出場に終わっている。
 今回のトレードは、この江越―渡邉を基本線に岡田監督が就任する前から水面下で進んでいたが、両球団の交渉過程の中で、中継ぎを強化したい日ハムが、160キロ近いボールを連発しながら、勝負どころで制球力を乱すなど、一皮むけない齋藤を要望して、阪神もさらに右の内野手の高濱を希望する形で最終的に2対2のトレードとなった。
 岡田監督はフロント主導で進んでいたトレードを監督打診後の話の中で聞き、すぐに承諾して最終的なGOサインを出した。岡田監督は新庄監督と阪神での現役時代が重なっていて高知の安芸キャンプでルーキー時代の新庄監督のバッティングや守備練習を見て「凄い奴がおるわ」と、いち早く、そのセンスを見抜いていた。その元チームメイトでタイガース魂を共有する後輩の新庄監督の熱意に応えてあげたいという“温情”と同時に、阪神では頭打ちになっていたが、覚醒する潜在能力を秘めた江越、齋藤という2人にとって環境を変えることが新しいチャンスになればとの思いがあった。

 

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