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日ハム新庄監督が熱望した阪神の江越(左)と日ハムの渡邉(右)から始まった2対2の電撃トレードが成立(資料写真・黒田史夫)
日ハム新庄監督が熱望した阪神の江越(左)と日ハムの渡邉(右)から始まった2対2の電撃トレードが成立(資料写真・黒田史夫)

なぜ岡田阪神と新庄日ハムの2対2電撃トレードが成立したのか…背景にあったタイガース魂持つ2人を繋ぐ「思い」と「狙い」とは?

そしてなにより、来季の構想として「三塁佐藤」、「一塁大山」の2ポジションの固定起用は決めたものの、リーグ最多の18失策した中野のショート、そしてシーズンを通じて、糸原、山本、木浪、小幡に、佐藤までが守るなど7人がスタメン出場して固定することができなかった二塁は未定で、内野手と強打の右打者を補強ポイントとして切望していた。

 そこに渡邉と高濱という強打の右打者2人を獲得できた意味は大きい。
 岡田監督は、ここ数年の阪神の戦いを見て「力のあるストレートに弱い」ことを問題視していた。渡辺は「直球破壊王子」の異名を持つほど滅法ストレートに強い。しかも、岡田監督が「戦力として足りない」と考えているパンチ力を秘めた右打者。
 高濱も、今季は7試合出場に留まったが、昨年は中田翔が抜けた一塁のレギュラーに定着して107試合に出場、打率.262、8本塁打、43打点の成績を残すなど、潜在能力があり、その年は、巨人との交流戦で戸郷から代打満塁本塁打を放つなどのインパクトを残している。
 兄の高濱卓也氏は、岡田監督が前監督時代の2007年の高校生ドラフトで競合の末、クジで引き当てた選手。その弟が阪神にくるのは何かの縁なのかもしれない。
 高濱は、主に一塁を守っていて、岡田監督は、代打起用を想定しているのかもしれないが、外野コンバートも視野に入れているという。
 2人が加わることでチームの弱点だった二塁で、激しいレギュラー争いが起きれば、「競争」という部分では物足りなかったチームの活性化にもつながり、なにより戦力の底上げになる。岡田監督が最終決断した電撃トレードの波及効果は計り知れないものになるのかもしれない。
 日ハムが発表した公式コメントによると、トレードの決定を受けて渡邉は、「ファイターズにドラフト1位で入ることができてから9年間、苦しい事もうれしい事もありました。打てない時も守れない時もありましたが、ファンの方々の声援のおかげで成長してこられたと思います。しっかりとレギュラーをつかめなかったことが心残りです。新球場でレギュラーという目標も果たせないですけど、交流戦で来た時には、はつらつとした良いプレーができるように頑張ります」と、日ハムへの感謝の思いを伝えると共に「阪神タイガースの一員として、早く認めてもらえるよう全力でプレーしたいと思います」と誓いを立てた。
 また高濱も「正直、驚きました。ただ、これもチャンスですし、トレードをプラスにとらえたいと思います。自分が持っている力を発揮して活躍し、ファイターズに恩返しできるように頑張っていきたいです」とした上で「ファイターズで8年間プレーして、1軍で活躍できたのは1年だけなので、ファンの皆様には申し訳なく思っています。それでも応援してくれるファンの方々がいたので、頑張ってこられました。北海道を離れるのはさびしいですけど、チームの力になれるよう阪神タイガースでも精一杯頑張りたいと思います」と続け前向きな言葉を発信している。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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