なぜ森保監督はドイツ遠征にE-1選手権組を緊急招集したのか?
日本サッカー協会(JFA)は15日、カタールワールドカップ代表発表前では最後の活動となるドイツ遠征に臨む森保ジャパンのメンバー30人を発表した。これまでの常連組にDF瀬古歩夢(22、グラスホッパー)やMF相馬勇紀(25、名古屋グランパス)、MF旗手怜央(24、セルティック)、FW町野修斗(22、湘南ベルマーレ)らが加わった顔ぶれから、11月開幕の本大会へ向けて森保一監督(54)が描く構想を探った。
不振の南野のポジションを模索
カタール大会をみすえたシミュレーションとする方針から一転、積み重ねと新たなトライの両方をテーマにすえたドイツ遠征に臨む日本代表メンバー30人が決まった。
当初は招集する選手数も、ワールドカップ本番の登録メンバーと同じ26人を予定していた。方針変更に伴って増えた4枠はそのまま、代表チームが直面する最新の状況を反映させながら、森保監督が描き直した構想と一致しているといっていい。
まずは新天地モナコで精彩を欠くFW南野拓実(27)の起用法だ。
アジア最終予選の途中から採用され、先の6月シリーズでも継続された「4-3-3」システムで、南野は左ウイングの先発を担ってきた。今回のドイツ遠征ではその左ウイングに南野とFW三笘薫(25、ブライトン)だけでなく、7月のEAFF E-1サッカー選手権で大きなインパクトを残したドリブラーの相馬が招集された。
A代表で6試合に出場している相馬だが、ヨーロッパ組が招集された陣容でプレーした経験はない。視察中のヨーロッパからオンライン会見に臨んだ森保監督は、相馬や町野、GK谷晃生(21、湘南)のE-1選手権組についてこう言及した。
「E-1選手権の前やその後の所属チームでのパフォーマンスを見ていて、彼らがA代表に入ってきてもチームとして機能すると確認して今回のメンバーに選んだ。あとは彼らがこのグループに入って、チームのためにできることを最大限見せてほしい」
南野は相手ペナルティーエリア内におけるポジショニングに長け、シュートの上手さも併せ持っている。しかし、モナコで起用される左右のサイドハーフやウイングで存在感を放てず、出場機会だけでなく自信をも失う悪循環の真っ只中にいる。
日本時間16日未明に行われた、フェレンツヴァーロシュ(ハンガリー)とのUEFAヨーロッパリーグ第2節も、モナコが敗れた展開で南野は出番なしで終えた。同12日未明のオリンピック・リヨンとのリーグ戦に続いてベンチを温めている。
同様のポジション問題が日本代表にも当てはまる。森保ジャパンで最多となる17得点をあげている南野だが、左ウイングに回ったアジア最終予選は1ゴールにとどまり、3試合、計153分間プレーした6月シリーズでは無得点に終わった。
プレミアリーグの名門リバプールから、出場機会を求めて完全移籍したリーグアンのモナコでも苦悩する姿を前にして、森保監督もようやく重い腰を上げたのか。 左ウイングは三笘と相馬に争わせ、南野にはより持ち味を出せるポジション、具体的にはインサイドハーフか、あるいは怪我でまたもや招集が見送られた大迫勇也(32、ヴィッセル神戸)が担ってきた1トップの適性を試す可能性が出てきた。