なぜ森保監督は東アジアEー1選手権のサプライズ招集を決断したのか…32歳で初招集FW水沼宏太に9年9ヵ月ぶり復帰FW宮市亮
さらに今シーズンのリーグ戦での出場歴がないGK鈴木を除けば、上位チームだけでなく中位、下位を含めて結果を残している選手が招集の前提になった。だからこそ森保監督は、以前に「サプライズはないかな」と語ったのだろう。メディアやファンが驚いた人選は、リーグ戦を基準にすえれば指揮官にとっては必然だった。
ただ、その観点で考えればひとつだけサプライズがある。2位でマリノスを追走する鹿島アントラーズの選手たちが、誰一人として招集されていない件だ。
アジア最終予選や先の6月シリーズにも出場した、FW上田綺世(23)が今夏にベルギー1部のサークル・ブルージュへ移籍した関係で招集できなくなった。10ゴールで得点ランキングのトップに立っていたストライカーは不在になったが、それでも7ゴールをあげて上田とともに鹿島を引っ張ってきたFW鈴木優磨(26)がいる。
体調不良を訴え、先週末のリーグ戦を累積警告による出場停止以外では初めて欠場した鈴木だったが、ガンバ大阪を茨城県立カシマサッカースタジアムに迎えた13日の天皇杯4回戦で先発に復帰。フル出場で2-0の勝利に貢献している。
「鹿島も非常に強度が高く、攻守ともにアグレッシブなサッカーをしている。実際に数人の選手たちをリストアップして試合を見てきたが、選考するタイミングで移籍などの理由があって選べなかった、というところはある」
鹿島の件を問われた森保監督は、上田について言及しただけだった。選手選考は監督の専権事項という前提に立てば、これ以上は言葉にする必要もないだろう。本来の開催国だった中国がコロナ禍で辞退し、日本での開催となったE-1選手権へ、指揮官は4大会ぶり2度目の優勝を目標に掲げた上で、さらにこんな言葉を紡いだ。
「戦いのなかで日本の選手層をより厚くし、結果と内容を持ってワールドカップに向かっていきたい。国内組の価値を上げ、Jリーグの価値を示す戦いができれば」
招集された選手たちは、土曜日の明治安田生命J1リーグ第22節を戦った翌日の17日に集合。日曜日にリーグ戦がある広島勢を除いた陣容で始動する。
(文責・藤江直人/スポーツライター)