なぜ森保監督はW杯3か月前に急遽方針転換を決断したのか…9月強化試合の招集メンバーを増員
ひとつはキリンチャレンジカップの開催方式変更があげられる。当初のベンチ入りメンバーは23人だったが、日本、アメリカ、エクアドル各協会、連盟による協議と、国際サッカー連盟(FIFA)の承認を受けて2日までに26人へと増えた。
カタール大会をにらんだ変更を受けて、森保監督はこう語っている。
「もちろん26人のままで2試合を行い、11月のワールドカップへ向けて若干を入れ替える形も考えていました。しかし、総合的に考えたときにプラスアルファで招集した方が、メリットが大きいという判断に至りました。一番のメリットは9月の活動を共有できること。本大会前の事前キャンプがほとんどできない状況で、9月をそのキャンプとしてとらえ、どのような準備を踏まえてワールドカップに臨むのかという点で、選手個々がイメージを作るために非常に大切な期間になると考えています」
もうひとつは招集予定だった主軸候補の戦線離脱があげられる。 たとえばコンディションを崩し、3月、6月両シリーズで選外が続いていたFW大迫勇也(32、ヴィッセル神戸)は8月に入って神戸で先発に復帰。プレー時間も延ばしてきた状況を受けて、森保監督もドイツ遠征への招集を視野に入れていた。
しかし、日本でセントラル開催されたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)東地区のノックアウトステージで状況が一変する。再びコンディションを悪化させた大迫は、全北現代(韓国)に敗れた8月22日の準々決勝でベンチ外になった。
京都サンガF.C.とのリーグ再開初戦を翌日に控えた2日に、オンラインでメディアに対応した神戸の吉田孝行監督(45)は、同じくACL期間中に戦線離脱したMFアンドレス・イニエスタ(38)とともに「状況は変わっていない」と説明した。
神戸で別メニュー調整が続き、復帰への見通しが立っていない大迫はドイツ遠征に間に合うのか。詳細はつかめていないと森保監督は現状を明かした。
「大迫のコンディションや怪我の状態に関して、実はまだ正確に把握できていないところがある。今後は代表と神戸のメディカルスタッフ同士が連絡を取り合い、状況や回復へ向けた今後の見通しに関して詳しく聞いていきたいと考えている」
最前線で不動の存在だった大迫を欠いた3月以降で、森保監督はスピードを武器とする浅野拓磨(27、ボーフム)と古橋亨梧(27、セルティック)、Jリーグでゴールを量産していた上田綺世(24、当時鹿島アントラーズ、現サークル・ブルージュ)を3トップの中央で起用した。しかし、最適解を得られないままいま現在に至っている。