なぜ横浜DeNA三浦監督の采配は冴えわたっているのか…7回の勝負手で申告敬遠を選んだ阪神“矢野采配“を凌駕し8連勝
ボールワンからの2球目の内角低めに来たストレート。その前の打席で見逃しの三振に打ち取られていた結果球である。
狙い打った一撃は、高々とレフトへ舞い上がり、直角に切り立つ京セラドームの2階席の最前列に飛び込んだ。勝負を決める感動の自身キャリア4本目となる実に5年ぶりのグランドスラム。交代を悔しがっていた浜口は、ベンチ前に飛び出して満面の笑みで万歳していた。
「(伊藤は)好投手なので腹をくくって一発で仕留める気持ちで臨みました。前の打者がつないで作ってくれたチャンスだったので、結果を残すことができよかったです」が広報を通じての桑原の談話。
9回、4番手の平田が2人の走者を出したことで急遽、巡ってきた二死一、二塁のセーブシチュエーションで、糸原をセンターフライに打ち取り、史上8人目、OBのレジェンド、佐々木主浩氏を抜き、史上最年少の200セーブの金字塔を打ち立てた山崎も、桑原をこう称えた。
「いつも守備で助けてもらって今日もバッティングで引っ張ってもらい、ムードメーカーが試合を決めてくれた。この形で9回を投げられると思っていなかった。チーム状態がいい中で、チームが成長していく姿を僕も見て、僕もそれにあやかってがんばれる。1日1日が僕にとって大事な試合になると思っている」
三浦監督の名采配の裏にあるのが、チームに浸透しつつある「つなぎ」の意識と、絶対的なブルペン陣への信頼である。
この日は、入江、エスコバー、平田、山崎とつないで2試合連続の完封勝利したが、ブルペンが安定しているからこそ、浜口の交代を迷わず決意できたのである。 一昨年まで7年間阪神でコーチを務めた評論家の高代延博氏も、「これまで横浜DeNAは大事なところでポカが出てチームの意志意思も曖昧で接戦になると弱い印象が強かったが、打つだけ、守るだけではなく勝つ野球ができるようになってきた。チームの成長と意識の浸透の成果だと思う」と評価していた。
冴えわたる三浦采配が阪神のベンチワークを凌駕したと言っていい。
某大物評論家は、矢野采配にこんな疑問を投げかけた。
「阪神ベンチは横浜DeNAの次の手を読めていたのだろうか。伊藤光を始めから申告敬遠するのではなく、勝負してカウント負けした時点で歩かせればよかったのでは。また桑原はファーストストライクをどんどん振ってくるタイプ。バッテリーは慎重に攻めるべきだったし、ベンチの指示があってもよかった。ベンチワークの差が出たゲームだった」
ヤクルトが広島に競り勝ったためゲーム差「4」は変わらないが、チームの貯金は「11」となり3位阪神とのゲーム差を「7」に広げた。26日からは、本拠地17連勝中のハマスタで、首位ヤクルトとの3連戦を控える。ヤクルトの結果次第だが、連勝を9に伸ばして、あわよくば「3」、ヤクルトが勝っても「4」のまま首位攻防戦に挑みたい。
今日の先発はロメロ。対阪神は2回で4失点KOされた4月19日以来、今季3度目。汚名返上の舞台は整っている。