なぜ浦和「声出し応援問題」に苦言程度だった野々村チェアマンが2000万円罰金&無観客試合などの”最終警告”を発令したのか?
浦和は公式ホームページ上で「ガンバ大阪戦における事象について」と題した声明を掲載。ガンバ戦で一部サポーターが集団で継続的かつ意図的に声を出した違反行為を認めた上で謝罪し、今後の再発防止策を事前周知と試合当日とに分けて発表した。
再発防止策では、ともに公式サイトやSNSなどを通じた啓発情報発信を継続。その上で事前周知はサポーターグループとの直接的なコミュニケーションの実施などが、ホームゲーム当日ではオーロラビジョン上での啓発情報発信の強化や、違反者の即時退場を含めた違反行為への適宜適切かつ毅然とした対応などが定められた。
ネット上では「これだけでは不十分だ」という声が上がったが、野々村チェアマンは浦和の自発的な発表を歓迎した。その理由をこう語っている。
「浦和のスタンスを確認したかった。問題があったときにどのような形で解決し、再発を防いでいくのか。クラブにはまず自浄能力を持ってほしいと考えていたなかで浦和から発表があった。全クラブで同じ方向へ進むと再確認できたのであれば、われわれとしても浦和に対してひとつのアクションを取ることができる、と」
開催前のタイミングで浦和の謝罪と再発防止策の発表があった臨時実行委員会は、野々村チェアマンをして「今回の件に関して各クラブが思うところもたくさんあった」と言わしめたように、浦和に対する厳しい意見も飛び交った。
その過程で謝罪した浦和の立花洋一社長に対して、野々村チェアマンは鹿島戦と今回のガンバ戦における浦和サポーターの行為が、Jリーグ規約第51条で定められた「Jクラブの責任」を問われる可能性があると立花社長に伝えた。
Jリーグ規約はさらに第152条で、第51条に違反した場合の制裁金として2000万円以下が科されると定めている。今後は独立した第三者機関である裁定委員会に諮り、その答申を受けた上でチェアマンが最終的に決定する運びとなる。
ただ、同時に別のアクションも諮ると野々村チェアマンは続けた。
「いま現在のリーグとしての考えとして上限の制裁金と、プラス、この先に同じようなことが起こった場合には次の、さらに上のペナルティーということで、無観客試合や勝ち点剥奪に進んでいきます、ということを(立花社長に)伝えました」
声出し応援に関するリーグのガイドラインを順守する意思があるのかどうか。浦和のスタンスを確認できなかった以上は、リーグから一方的にペナルティーを科しても「また同じ状況を招いてしまう」と野々村チェアマンは考えてきた。