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西武が20日のドラフトで早大の現役最多12本塁打を誇るスラッガー蛭間拓哉外野手を1位指名することを公表した(写真・日刊スポーツ/アフロ)
西武が20日のドラフトで早大の現役最多12本塁打を誇るスラッガー蛭間拓哉外野手を1位指名することを公表した(写真・日刊スポーツ/アフロ)

なぜ西武は早大スラッガー蛭間拓哉外野手のドラフト1位指名を公表したのか…ソフト、日ハムなど相次ぐ公表戦略の功罪とは?

 西武の渡辺久信GM(57)が11日にオンライン取材に応じ、20日のドラフト会議で早稲田大の蛭間拓哉外野手(22)を1位指名すると公表した。近年は投手を中心に1位指名してきた西武だが、渡辺GMは「ライオンズのひとつのウイークポイントにあてはまる選手」と左投げ左打ちのスラッガーへ即戦力の期待を寄せ、1位指名を決断した。事前公表したのは、4球団が競合し、抽選で引き当てた昨年の隅田知一郎投手(23、西日本工大)に続いて2年連続。先だってソフトバンクが“無名の逸材”イヒネ・イツア内野手(17、愛知・誉高)の1位指名を公表、一方で中日は、1位を公表しない方針を明かしたが、わざわざ1位指名を公表した西武のドラフト戦略の狙いとは?

 「西武の外野のポジション争いのなかで十分にやっていける」

 

 6年間にわたって指揮を執ってきた辻発彦前監督(63)が今シーズン限りで勇退。覇権奪回へ向けて新指揮官のもとで船出する西武が、新体制の目玉を即戦力の外野手に求める。
 オンライン取材に応じた渡辺GMが9日後に迫った今年のドラフト会議で、大学ナンバーワンスラッガーの蛭間を1位指名すると公表。その理由を次のように説明した。
「たくさんの有力選手がいるなかで、今年のライオンズのひとつのウイークポイントにあてはまる選手。アマチュアから入ってきても、外野のポジション争いのなかで十分にやっていける。非常にポテンシャルも高く、常に気にしていた選手です」
 西武のドラフト戦略が、大きく変わったといっていい。
 高校生と大学生・社会人の分離ドラフト形式が撤廃および再統合された、2008年以降のドラフト会議で西武が1位指名した野手は、2013年の森友哉捕手(27、大阪桐蔭高)の一人だけ。2020年の渡部健人内野手(23、桐蔭横浜大)は、西武を含めた4球団が競合し、抽選で楽天が引き当てた早川隆久投手(24、早稲田大)の“外れ1位”だった。
 ドラフト1位で加入した投手陣のうち、2014年の高橋光成(25、前橋育英高)と2016年の今井達也(24、作新学院高)、そして2018年の松本航(25、日体大)の右腕トリオが、辛抱強く起用してきた辻監督のもとで3本柱へ成長。今シーズンはさらに、2017年の5位で入団したサブマリンの與座海人(27、岐阜経済大)が自身初の2桁となる10勝をマークした。
 ブルペン陣も2017年の4位入団のセットアッパー平良海馬(22、八重山商工高)を中心に、2位以下で入団した選手たちが次々に台頭。4年連続でリーグワーストだったチーム防御率が、今シーズンはリーグ1位の2.75へはね上がるなど劇的に改善された。
 懸案だった投手陣が整備された一方で、野手陣で課題が露呈していた。
 リーグ最多の118本塁打を放ちながら打率.229はワースト、得点464は同2位と確実性を欠いた打線は、本塁打と打点の二冠を獲得した主砲・山川穂高(30)の調子に大きく左右された。特にシーズンを通して固定できなかった外野の3つのポジションに対して、渡辺GMは「投手でも内野手でも、ほしい選手はいろいろいるんですけど」と前置きした上でこう続けた。
「今年はシーズンを鑑みても外野手を固定できなかった。能力のある選手はいるし、チャンスもあったんですけど、なかなかポジションを確保するような選手が現れませんでした」

 

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