なぜ西武は1日で自力Vを復活させることができたのか…トップ3チームが再びゲーム差「0」で優勝争う大混戦
西武が3-0で日本ハムを下して連敗を3で止め、自力優勝の可能性を1日で復活させた。2回に中村剛也(39)の11号ソロで先制。3回には金子侑司(32)の三塁打を足がかりに2点を追加し、5回を無失点に封じたサブマリン與座海人(26)が自身初の2桁勝利をマークした。オリックスは1日で首位陥落。1位ソフトバンク、2位西武、3位オリックスとなった3チームが再び0ゲーム差でひしめき合う歴史的な大混戦となっている。
おかわり君の先制弾に戦列復帰の金子が躍動
三塁側の西武ベンチで戦況を見つめながら、辻発彦監督、松井稼頭央ヘッドコーチ、平石洋介、高山久両打撃コーチは図らずも同じ光景を共有していた。
首脳陣のつぶやきに言霊が宿ったと言わんばかりに、辻監督が苦笑いを浮かべた。
「1回、2回とピンチを作られたなかで、ここで1本、ホームランでも出ればなあと言っていた矢先だったので、言ってみるものだなと。見事なホームランでした」
先発の與座が初回の一死一、三塁、2回の二死一、二塁のピンチを切り抜けた直後。8月にノーヒットノーランを達成している日本ハムの先発右腕ポンセが、カウント3-1から真ん中高目に投げ込んだ146kmのツーシームを中村は逃さなかった。
打った直後から歩きはじめ、バックスクリーン左へ美しい放物線を描いた打球の着弾点を目で追う会心の先制11号ソロ。史上18人目の通算1300打点に到達させたベテランは、戻ったベンチで「よっしゃーっ!」と雄叫びをあげてガッツポーズを作った。
「甘いボールをしっかり打てたし、感触もよかった。昨日も思うようなゲームができなかったなかで、何とかいい場面で打てるように、と思ってやっています」
本拠地ベルーナドームに最下位の日本ハムを迎えた2連戦。前日は最終回に中村のタイムリーで追いつくも、延長戦の末に1-2で手痛い黒星を喫した。3連敗を喫した西武は3位へ後退し、さらに自力優勝の可能性が消滅していた。 もっとも、正念場の9月に入って打線が湿り気味だった西武は、日本ハムとの初戦を前にした時点でテコ入れを図っていた。右太もも裏の肉離れを再発させ、8月3日に登録を抹消されていた金子を、11日から昇格させる入れ替えを決めた。
西口文也二軍監督から口頭で昇格を告げられ、松井ヘッドコーチからは電話で「頑張ろう。頼むぞ」とエールを送られた金子は、オーダーを見て驚かずにはいられなかった。自らの名前が、いきなり1番打者として書き込まれていたからだ。
「前回は復帰した初日にやってしまったので、今回もすごく怖くて。またやるかもしれないと、自分のなかですごく不安もあった。優勝争いをしているチームの力になりたいと思って来たんですけど、最初はただただ緊張しました」
5月20日の日本ハム戦の初回に、三塁内野安打を放った際に右太もも裏に肉離れを起こした。二軍でのリハビリをへて、復帰を果たした8月2日のオリックス戦。8回に遊撃内野安打で一塁を駆け抜けた瞬間に、同じ箇所に再び激痛が走った。
再発させたとわかっていても、金子は試合中に首脳陣へ申告できなかった。
「(自分が)情けなさすぎて。本当に難しい怪我ですけど、そうこう言っていられない。上がってきた以上は、試合に出る以上は、万全だと思ってもらって大丈夫です」