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阪神の矢野監督の采配ミスでヤクルトに逆転負け。後味の悪い終戦となった
阪神の矢野監督の采配ミスでヤクルトに逆転負け。後味の悪い終戦となった

なぜ阪神の矢野監督は3点リードでマルテを交代させておかなかったのか…4年間を象徴する後味の悪い“守乱”での終戦

 セのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第3戦が14日、神宮球場で行われ、3位の阪神は3-6で1位のヤクルトに逆転負けを喫して3連敗。ヤクルトのアドバンテージの1勝を加えて敗退が決定、日本シリーズ進出を逃した。矢野燿大監督(53)は、第2戦に続き守備面でリスクのある攻撃重視型の布陣で挑み、ジェフリー・マルテ(31)を「5番・一塁」で先発起用したが、7回に危惧した守りのミスが出て、二死満塁から、ヤクルト村上宗隆(22)のボテボテの内野ゴロの処理を浜地真澄(24)が誤り、この回一気に5点を失い逆転を許した。その背景にあったのが指揮官の采配ミス。矢野阪神の4年を象徴するような後味の悪い終戦となった。

 村上のボテボテゴロを処理ミスで逆転許す

 

 ヘッスラを敢行した村上が一塁ベース上で泥だらけになって大爆笑していた。7回にマルテのタイムリーエラーから2点を返し、なお1点を追う二死満塁で、村上が一塁方向へボテボテのゴロ。浜地は、それを一塁へグラブトスしたが、ボールがグラブにひっかかり一塁ベースに入ったマルテの頭上を大きく越えて、カバーに入った植田も追いつかなかった。
 一塁走者の宮本まで生還。なんと“3冠王”が走者一掃の逆転のタイムリー内野安打&エラーで勝負を決めたのである。
 試合後の場内インタビューで高津監督は「ムネ(村上)が最後に素晴らしい当たりを打ってくれた。持っている男。ナイスバッティングです」とユーモアを交えてコメントしたが、笑えないのは阪神である。
 もう“新喜劇”ならぬ“新悲劇”だ。
 一昨年まで7年間、阪神でコーチを務めた評論家の高代延博氏は「防げるミスだった。厳しい言い方だが、細心の準備を怠ったベンチの采配ミス」と厳しく批判した。
「矢野監督は、前日に続き、守りよりも攻撃優先という方針を貫き守備に不安のあるマルテを先発で使った。その方針自体に疑問はあるが、野球は動くのだからベンチの采配も臨機応変に対応すべきだった。3点をリードしたところで好投していた青柳に加え、分厚いブルペン陣が控えている。もう1点を取るのではなく、逃げ切る野球に切り替え、マルテを交代させておくべきだった。6回に島田をライトに入れ、大山の守備位置を変えたが、このタイミングで、大山とマルテの守備位置を変えて守りを固めておけば7回の失点は防げたのだ。8回に回ってくるマルテの打席を待つ必要はなかった」
 矢野監督は、前日のゲームでも、膝に故障を抱える守備の不安が露呈して敗因につながったというのに、またマルテを先発で使った。
 この日は、さすがに三塁ではなく慣れ親しんだ一塁だったが、守備への不安が消えたわけではなかった。
 7回二死満塁から青柳は山崎を内野ゴロに打ち取ったが、飛び出て処理したマルテが二塁へ悪送球。2人が生還して1点差に詰め寄られることになった。ここで矢野監督は青柳から浜地にスイッチ。宮本に四球に与え、満塁となったところで村上を迎えた。浜地はフルカウントから村上のタイミングを狂わせて完全に打ち取ったが自らミスを犯したのである。
「本来ならばマルテがダッシュしてきて、さばかねばならない打球。しかしまったくスタートを切っていなかった。マルテが処理すれば打者走者へのタッチプレーとなり、セーフ、アウトのタイミングは微妙だったかもしれないが、走者一掃のエラーにつながることはなかった」と高代氏。
 今季もチームのシーズン失策は「86」で5年連続でリーグワースト。克服できなかった“守乱”に最後の最後まで足を引っ張られる形となった。
 高代氏が、こう総括する。
「この4年を振り返ると矢野監督は守備というものを軽く考えていたと思えて仕方ない。佐藤、大山や内野の守備位置もコロコロと変えてきたが、ポジショニングでファインプレーは生まれない。阪神の戦力を考えるとリーグでも突出した先発、中継ぎ陣の投手力をどう生かすかを考えたチームマネジメントを行うべきだったと思うが、方向性をずっと間違ってきた。短期決戦は特に守り勝つことが重要になってくる。最後は矢野監督の4年を象徴するような阪神にとって最悪のゲーム展開になったと思う」
 なんとも後味の悪い終戦となった。

 

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