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阪神の湯浅が8回二死一、二塁のピンチからの回跨ぎでゲームを締めて“プロ初セーブ”
阪神の湯浅が8回二死一、二塁のピンチからの回跨ぎでゲームを締めて“プロ初セーブ”

なぜ阪神・矢野監督の“CSスペシャル采配”が成功したのか…2位の横浜DeNAを下し初戦勝利ファーストS突破確率は86%

 セ、パのクライマックスシリーズ(以下CS)のファーストステージが8日開幕。3位の阪神が横浜スタジアムで2位の横浜DeNAを2-0で下しファイナルステージ(12日から神宮、対ヤクルト)進出に王手をかけた。青柳晃洋(28)と今永昇太(29)の両エースの好投で予想通りの投手戦となったが、矢野燿大監督(53)が“早仕掛け”で5回に送った代打ジェフリー・マルテ(31)の四球でチャンスを広げ近本光司(27)が決勝の2点タイムリー。守っては岩崎優(31)―湯浅京己(23)の配置を入れ替え、湯浅を回跨ぎで投入するなどのCSスペシャル継投で横浜DeNA打線を封じ込んだ。

 代打マルテが5回に選んだ四球が勝因

 

 矢野監督の“采配“が豹変した。
 3回一死一塁の場面では、糸原の打席で何も仕掛けずに三振。続く近本のところで動いてもよかったが、ここもただ任せてチャンスを逃していた。この4年間、勝負どころで、ことごとく硬直化してきた矢野采配。「最後の最後まで采配に泣かされるのか」と思っていたが、5回に仕掛けた。一死から青柳、中野の連打で一、二塁となると糸原に代打マルテを送ったのだ。
「プレイボールから自分のストレートを投げられた」という今永は1回から飛ばした影響からか、80球近くになり逆球が目立ち始めていた。
 マルテは低めの凡打ゾーンで誘われるが手を出さない。四球を選んだ。試合のポイントとなる値千金の四球だった。
 一死満塁。近本はコンパクトに構えてボールの見極めに集中していた。2-1のバッテイングカウントを作ると、甘く入ってきた150キロのストレートをセンター前に弾き返した。緊迫の投手戦の均衡を破る2点タイムリー。今永の失投を見逃さなかった。
「得点を許してしまった場面ですが、今までファウルやフライになっていたボールをコンパクトに弾き返されてしまいました」
 今永の広報談話に阪神打線が徹底した工夫が浮き彫りになった。
 前日会見で横浜DeNAの主将の佐野が警戒すべき人物として近本の名前をあげていた。そして矢野監督も、近本と中野の2人をキーマンに指名していたが、その近本が、このタイムリーを含めて3安打、中野は4安打。2人で7安打と躍動した。いわゆる“シリーズ男”が2人も誕生したのである。
 矢野監督は、さらにCS用のスペシャル継投を用意していた。
 無失点の好投を続けていた青柳を85球で7回に迷わず代え、岩貞―浜地の小刻み継投で乗り切ると、8回にセットアッパーの湯浅ではなくシーズンのほとんどでストッパーを任せていた岩崎を先に出したのである。大和、桑田と右打者が続くところでなぜ?の違和感があったが、むしろ最優秀中継ぎタイトルを獲得し自信を深めた湯浅をCS用のストッパーへ配置転換することを決断していたのだろう。
 だが、一死から恐れていたミスが生まれる。桑原をボテボテのピッチャーゴロに打ち取ったが、岩崎が余裕を持ちすぎて一塁へ山なりの送球。それが大きく上へとそれたのだ。シーズン86失策は5年連続でリーグワースト。ここまでノーエラーできていたが、懸念されていた守備の乱れが大事な終盤の局面で出た。

 

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