なぜ鹿島ヴァイラー監督“電撃解任”はサポーターの反発を招いたのか…小泉社長がSNSで経緯説明も
しかし、鹿島の動きは鈍かった。しかも上田に続いて3年目のFW染野唯月(20、現東京ヴェルディ)までが7月に期限付き移籍。フォワード陣が深刻なコマ不足に陥り、結果として極端な得点力不足に悩まされる戦いを余儀なくされた。
鹿島は今月1日、ナイジェリア出身のFWエレケ(26)がベールスホット(ベルギー)から加入すると発表した。身長190cm体重88kgのサイズを誇るエレケは、2018-19シーズンにルツェルン(スイス)でヴァイラー監督のもとでプレーしている。
日本でプレーするにあたってはヴァイラー監督が率いる状況も影響したはずだし、指揮官自身も「フィジカル的に強い選手で、個人で打開する能力がある」と大きな期待を寄せていた。それだけに、エレケの合流前の解任はちぐはぐ感が否めない。
もっとも、鹿島が補強で後手を踏む状況は今夏の移籍市場に限らない。
このオフに犬飼智也(29、浦和レッズ)と東京五輪代表の町田浩樹(24、ユニオン・ザンジロワーズ)と2人のセンターバックが移籍した。札幌からリオ五輪韓国代表のキム・ミンテ(28)を獲得したが、現状では犬飼と町田が抜けた穴を埋められず、ボランチを主戦場とする三竿健斗(26)がセンターバックに回るケースが多くなった。
さらに新型コロナウイルス禍で外国人の新規入国が制限されていた影響で、ヴァイラー監督の合流が開幕後にずれ込んだ。キャンプからチームをまったく指導できなかっただけでなく、夏場の補強を含めて万全な陣容を編成できなかったからこそ、指揮官だけにすべての責任を押しつけるのはおかしいと批判がわきあがった。
鹿島は昨年4月にも成績不振を理由に、指揮を執って2シーズン目を迎えていたブラジル出身のザーゴ監督を解任。クラブOBの相馬直樹コーチ(現大宮アルディージャ監督)が監督に昇格し、最終的には4位まで巻き返した。
それでも相馬監督との契約延長を見送り、スイス人のヴァイラー監督を招へいした。鹿島史上で初めてとなるヨーロッパ出身の指揮官として注目されたが、当初は黎明期から掲げられてきたブラジル人監督を継承する予定だった。
コーチ、強化育成課長、強化部長、そしてフットボールダイレクターとして鹿島の歴史のすべてに関わり、昨年末に退任した鈴木満氏(現強化アドバイザー)から、最終的にヴァイラー監督を迎え入れた経緯を聞いたことがある。
「ブラジル人で若くて、ヨーロッパの現代サッカーを勉強している指導者をジーコと一緒に探した。しかし、ブラジル国内でも外国人監督が増えている。いろいろとリストアップしたなかで5人ぐらいとリモートで面談したなかで、いまの鹿島のサッカーを理解しながらアップデートさせる仕事に一番適応できると判断した」