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非公表の阪神は高松商のスラッガー浅野翔吾を巨人との競合覚悟で1位指名へ(写真・日刊スポーツ/アフロ)
非公表の阪神は高松商のスラッガー浅野翔吾を巨人との競合覚悟で1位指名へ(写真・日刊スポーツ/アフロ)

なぜ9球団が1位指名公表の異例ドラフトが起きたのか…SNSでは「ドキドキ感なくなった」失望の声も…残る3球団の動向は?

 そしてみっつ目が選手やその所属先への誠意だ。

「選手側に誠意は伝わるし、指名を公表された選手側も安心してドラフトを迎えることができるというメリットがある。指名後の交渉はスムーズに運ぶ。ただファンや我々のような“外野”はドラフトのドキドキ感がなくてガッカリしているでしょう」

 近年は上位候補のドラフト拒否の例はないが、この先のことを考えても球団として好印象を与えておくメリットはある。

 ただドラフトという“イベント”のドキドキ感は少なくなってしまった。ここ5年は誰がどこへ行くのかのスリル感のあるドラフトだった。

 昨年1位指名を公表したのは西武の隅田知一郎、ソフトバンクの風間球打の2球団だけ。隅田に4球団が競合して西武、小園健太にも2球団が競合し横浜DeNAが獲得した。2020年も早川隆久(楽天)に4球団、2019年は佐々木朗希(千葉ロッテ)に4球団、奥川恭伸(ヤクルト)に3球団、石川昂弥(中日)に3球団が重なり、2018年は根尾昂(中日)、小園海斗(広島)に4球団、そして2017年には清宮幸太郎(日ハム)に7球団が1位入札している。

 もし一人も重複がなく、クジ引きがないとすれば、各球団最大2人の自由枠が採用されていた2003年まで遡り、19年ぶりの珍事となる。

 事前公表のデメリットは「公表していないチームに他選手の単独指名のチャンスを与え、重複のチーム数を読まれることでしょう」と松井氏。

 では、非公表の阪神、横浜DeNA、千葉ロッテの動向はどうだろう。

 阪神は巨人との競合覚悟で浅野を1位指名する方針。

 岡田監督には「高校出の長く主軸となる野手を育てなければならない」との持論がある。阪神とヤクルトのクライマックスシリーズ・ファイナルステージのスタメンを見ると、阪神はドラフト1位の近本光司、大山悠輔、佐藤輝明が名を連ねたが、いずれも大学、社会人出の出来上がった選手。高校出の野手は、原口文仁と北條史也だけ。一方のヤクルトは、村上宗隆、山田哲人、中村悠平、長岡秀樹ら主力が高校出の野手で固められていた。

 高校出の野手で主力を固めることができれば、長くそのメンバーで戦うことが可能な常勝軍団の基礎ができる。ファーム組織など球団の育成手腕も問われるが、阪神が切望している「右の強打の外野手」というテーマにも浅野はピタリとあてはまる。

 横浜DeNAは、1位の最終候補を5人に絞り込み、当日決定の方針。昨年は、阪神と競合した小園を三浦監督が引き当てたが、本来は重複を避けて単独指名で確実に戦力を確保することが球団の戦略としてあり、今回も単独指名を狙うと考えられている。将来を見据えた捕手の強化が課題で、他球団スカウトの情報によると大阪桐蔭高の大型捕手である松尾汐恩の1本釣りを狙っている模様だ。

 

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