やりたい放題メイウェザーが異例の公開練習で披露した”超絶テク”の一部始終と「皆が希望するなら(朝倉未来を)早く倒す」の真意…大混乱を目撃した元世界王者の見解とは?
加えてメイウェザーは「天心選手には“おめでとう”と伝えたい。(前回の試合は)素晴らしいパフォーマンスだった。ボクシングに転向すると聞いているので彼の幸運を祈りたい」と、体重差を生かして血祭りにあげた天心への気遣いも忘れていなかった。
前日も、夜中1時にトレーニングをしたいと突然、連絡が入り、24時間体制で対応できるジムを用意していたRIZINサイドが送り迎えをした。かなりの本気モード。これまで非公開の練習を4、5回見てきた榊原CEOも「(朝倉)海も(米国で練習を見て)驚いていた。あれだけ動いても息がきれない、焼肉食ってショッピングしてこの状態(笑)。モンスター」と目を丸くした。
「皆が早く終わらせろと言うなら」の発言に対するプロモーターとしての希望を問われると、「未来にも一矢報いるチャンスはある。いずれにしろ判定はないのだから(両者が)フルスロットルで倒し倒されるという試合をみたい。KOでの完全決着を見せてほしい。試合後にニコニコして抱き合う姿は見たくない」と話した。
遠慮無用というわけか。
元世界王者の内山氏に見解を聞く。
「普通に考えたら厳しい。(朝倉のパンチは)当たらない。触ることはできてもクリーンヒットは難しい。今まで世界の名だたるボクサーが当たらなくて負けてるんですから。ただ朝倉選手の体は大きい(ノーウエイトルール)。身長もある。メイウェザーも無理に倒すというよりもKOはなく無難にパンチをもらわずに3ラウンドの間にみんなにテクニックを見せようという感じで終わると思う」
メイウェザーの「3ラウンド引っ張る」の予告を裏づけるようにサービス精神にのっとった「ドロー決着」を内山氏は予想した。
ボクシング経験がなく、今回もあえて総合の特色を生かそうとボクシングジムでの特訓をしてこなかった朝倉が、“ボクシングルール“で、”生ける伝説”と「普通に」戦っては好きにやられるだけだろう。だが、夢も希望もないわけではない。
内山氏は、こうも付け加えた。
「朝倉選手が突進して、なりふりかまわずにガンガンやるならメイウェザーもムキになって強い攻撃に出るかもしれないが、逆に言うと、そうしないとチャンスはない。(朝倉の発言を聞くと)打たれてもいい、倒れてもいいのでガンガンいきそう。相手が出てくるとスキはある。ある程度距離を取ってジャブを突いて(というボクシングを)やっていたら、そのまま終わってしまう。あとは朝倉選手のセンスに期待ですよ」
天心は、カウンターを浅くヒットさせ、メイウェザーのプライドを傷つけ、怒らせてTKO負けをしたが、あの戦いにヒントがあるという。
「相手にスイッチを入れさせないと普通に終わる。スイッチを入れさせることができるかどうかがカギ」
この試合を世界に名を売るチャンスととらえている朝倉は、内山が提案する作戦と同じく、公開練習時に被弾覚悟で1ラウンドから勝負にいくことを公言している。ただ、当然、打ちにいく朝倉にもスキが生まれる。
内山氏も「(朝倉が強引に)出ていったときにカウンターでやられるかもしれないが、いちかばちかですよ」と見ている。
「トレーニングを続けていればスピードは衰えないが、年齢と共に打たれ弱さは多少出る。50歳、55歳になっていけばねえ。昔よりは鈍っているとは思うが、鈍ってもメイウェザーですからね」
ちなみに内山氏ならどう戦うか?と問うと「僕は普通に判定で終わらせる。本気を出してもらわないようにやります」と笑った。