エンゼルスの買収を巡って争奪戦勃発… 誰が新オーナーになるかで大谷翔平の去就が変わる?!
ロサンゼルスタイムズ紙(以下LA・タイムズ紙)のオーナー、パトリック・スーン・シャン氏が、8月23日(日本時間24日)に売却の方針が発表されていたエンゼルスの買収に乗り出すことが明らかになった。プロスポーツのビジネスニュースに強いメディアの「スポーティコ」がいち早く報じ、当のLA・タイムズ紙も、後を追ってNBAウォリアーズのオーナーでもあるジョー・レイコブ氏、日本の投資家グループ、南カリフォルニアの投資家グループも入札に参加する見込みだと伝えた。 争奪戦の模様となったが、エンゼルスの新オーナーが誰になるかは、所属する大谷翔平(28)の去就にも大きな影響を及ぼすと見られる。
1兆円超える資産を持つロサンゼルスタイムズ紙のオーナーが名乗り
LA・タイムズ紙は、この時期になると、もうエンゼルスの担当記者を遠征に派遣しなくなる。大谷が敵地で先発した10日のアストロズ戦も、現地は“空き家”で、通信社の原稿を紙面に利用していた。
ドジャースがポストシーズンを勝ち抜いてワールドシリーズまで行くことを見越し、またNFL(ナショナルフットボールリーグ)が開幕したので、そちらに予算を振り向けるようになっている。大きく負け越しているエンゼルスの試合が消化試合となり、読者の興味のレベルが下がるから、という現実的な判断も背景にあるようだ。
経営的にはより苦戦しているもう一つの地元紙、オレンジ・カウンティ・レジスター紙が、終盤でも番記者を現地に出しているのとは対照的に映る。 いつからという明確な線引きは難しいが、少なくとも大谷がエンゼルスに移籍した2018年の時点では、すでにそうだった。
その2018年2月に冒頭で紹介した南アフリカ出身の医師で実業家でもあるスーン・シャン氏がLA・タイムズ紙を買収し、同4月には、ダウンタウンからロサンゼルス国際空港近くへの本社の移転を発表している。ダウンタウンの一等地から、決して治安がいいとはいえない地域への移転は何を意味するのか。 LA・タイムズ紙の本社は1935年に建てられ、アール・デコ調の荘厳なたたずまいが特徴だったが、前オーナーのトリビューン・パブリッシング(16年、トロンクに社名変更)が、2016年にカナダの開発業者に土地・建物を売却。以来、賃貸料を払ってそのまま本社として利用していたが、移転によって月々100万ドル(約1億4300万円)の節約が可能になったという。
歴史ある建物からの移転には、伝統を軽視しているとの批判も少なくなかったが、赤字が年間5000万ドル(約71億4000万円)とも報じられており、移転は当然、買収条件に含まれていたのだろう。 買収後、スーン・シャン氏は、現場から求められた記者の数を増やすという案には合意したが、会社経営においてはなんら効果的な手を打てず、昨年2月には、LA・タイムズ紙の売却を検討しているとウォールストリート・ジャーナルが報じた。
当初、ニューヨーク・タイムズ紙のように電子版の購読者数を伸ばすことで業績回復を目論んだが想定通りにいかず、赤字体質が改善されないことが、理由として挙げられていた。