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先制2ランを放ったオリックス4番の吉田正尚がCSのMVP
先制2ランを放ったオリックス4番の吉田正尚がCSのMVP

シーズン同率だったオリックスがCS4勝1敗でソフトバンクを撃破…その差はどこにあったのか?

 パのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第4戦が15日、京セラドーム大阪で行われ、オリックスが3-2でソフトバンクにサヨナラ勝利を収めアドバンテージの1勝を加えた4勝1敗で2年連続14度目の日本シリーズ進出を決めた。両チームはレギュラーシーズンでは76勝65敗2分けのまったくの同成績で並んだが、15勝10敗の両チームの対戦成績でオリックスの優勝が決まった。実力は5分のはずだったが、ファイナルSではオリックスが4勝1敗と圧勝した。その差はどこにあったのか?

 最後の“PL戦士”がサヨナラ打

 

ベンチで腕を組む中嶋監督は「決めてくれ」と祈っていたという。7回にデスパイネに手痛い同点2ランを浴びた山崎颯も両手で祈るポーズ。2-2で迎えた9回二死二、三塁で、打席には3番の中川圭。
「今年でダメなら戦力外」と腹をくくって挑んだシーズンで110試合、打率.283、8本塁打、51打点と結果を出し、勝負の9月中盤からファイナルSでも3番で起用されてきた最後の“PL学園戦士”である。
 カウント2-2からソフトバンクの絶対的守護神モイネロが内角に投じた5球目のスライダ―だった。バットを折った執念の打球は三遊間を抜けていった。中川は雄叫びを上げ、右手でガッツポーズを繰り返しながら一塁ベースを駆け抜ける。劇的サヨナラ勝利での日本シリーズ進出決定にベンチはもうからっぽ。中川は、次から次へとナインと抱き合い、最後にベンチ前と中嶋監督と抱擁して互いに背中を叩き合った。
 中川は3球目の154キロの内角ストレートを引っ張って強烈なファウルを放ったが、4球目の155キロの外角ストレートにはタイミングが合っていなかった。パ・リーグの野球に詳しいソフトバンクOB(当時ダイエー)の評論家の池田親興氏は、「あくまでも結果論だが同じくアウトコースのストレートで勝負した方が良かったのかもしれない。4回に吉田正に打たれた先制2ラン、王手をかけた試合で西武の山川に打たれたサヨナラ本塁打もそうだが、チームとして今季のソフトバンクは、細かい配球、制球ミスで僅差のゲームを落とすのが目立った」と指摘した。
 MVPは、4回無死一塁から特大の先制2ランを放った吉田正。CSの4試合で13打数6安打の打率.462、2本塁打、3打点と爆発した。
 中嶋監督も「とんでもなく飛んでくれたのでちょっと度肝を抜かれた。素晴らしいホームラン」と頼れる選手会長を称えた。
 先発の山岡が4回に周東の打球を足に受けるアクシデントがあり、5回から宇田川にスイッチしたが、2イニングをパーフェクト。3番手の山崎が、7回にデスパイネに一発を浴びて同点に追いつかれたが、宇田川と同じく2イニングを投げきり、9回は阿部が無失点に抑えてサヨナラの舞台を整えた。
 2年連続の日本シリーズ進出を決めた中嶋監督は、お立ち台で「本当にうれしいです」と第1声。続けて3万3717人で埋まったスタンドのファンに感謝の気持ちを伝えた。

 

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