シーズン同率だったオリックスがCS4勝1敗でソフトバンクを撃破…その差はどこにあったのか?
ソフトバンクも意地は見せた。
6回に頓宮のセンター頭上を遥かに越えていく打球を牧原大が背走したままジャンプしてスーパーキャッチ。グラブの先にボールが見えていたが、こぼさなかった。そのプレーで流れをつかみ7回のデスパイネの同点2ランにつなげた。だが、引き分けでもオリックスのCS突破が決まる中で、勝ち越すことはできなかった。
中嶋監督は「延長の投手を考えなくてよくなったので、非常にありがたい(中川の)ヒットでした」」と語ったが、池田氏は「オリックスはワゲスパックも平野も残していた。対するソフトバンクも森、又吉がいたがモイネロが最後のカード。あのままの展開でも苦しかったし、そういう焦りが出たのかもしれない」と指摘した。
レギュラーシーズンは、先にソフトバンクがマジック「1」の王手をかけていたが、西武にサヨナラ負けを喫して、最終戦でロッテに敗れ、一方のオリックスが楽天に勝ったことで、シーズン成績は、まったくの同率で並んだが対戦成績で大逆転が起きた。実力は五分だったはずだが、ソフトバンクの“下克上“はならなかった。その差はどこにあったのか。シーズン対戦成績15勝10敗の相性の悪さが、そのまま反映されたのか。
池田氏は、「シーズン終盤の流れが、そのままCSにも持ち越されたように思える。CSに対しての是非の議論はあるが、システムとして優勝したチームに比べ2位、3位チームのハンデが大きいことをソフトバンクは痛感したのではないか。短期決戦で重要なオリックスとの初戦に千賀をもっていけず、対するオリックスは山本で盤石の勝利。オリックスは先発が1枚足りないが、この日、4回まで山岡が好投したし、そういう弱点もカバーできた」と分析した上で、こう続けた。
「ソフトバンクは緊迫したゲームの中でミスが出る。そういうミスが最終的にオリックスの打順の巡りを良くして吉田正の前にいるキーマンの中川に打席が回ってくるようになる。オリックスは昨年の優勝の経験と自信から隙を見せない。序盤は本田、シーズンの終盤になって宇田川、山崎の2枚を中継ぎに加え、さらにブルペンが強固になった。そのブルペンの充実度の違いが大きく響いた。CSでは吉田正の後ろを打つ杉本の調子が上がっていたことも生きたと思う」
ソフトバンクは3回に一塁の中村晃がイージーな打球をお手玉してエラー。6回にも無死一塁で吉田正の打球の処理を三森が手間取って併殺に取れなかった。これも記録に残らないミス。いずれも得点にはつながらなかったが、短期決戦で重要な“流れ”に影響を与えたのかもしれない。
また池田氏が指摘するように150キロ後半のストレートでグイグイとストライクゾーンで勝負してくる宇田川、山崎の若手2人の存在がオリックスのストロングポイントとなっている。
中嶋監督も「本当に苦しいというか、非常に厳しいタフなゲームばかり(の中)でよく投げてくれた。経験のない投手ばかりでしたが、本当にいい緊張感で最高の投球をしてくれた」と、そのブルペン陣を称えた。
日本シリーズは2年連続でヤクルトとの顔合わせとなる。昨季オリックスは2勝4敗で敗れたが、6試合中5試合が手に汗握る1点差ゲーム。最後の第6戦は、山本が9回を1失点に抑える好投で延長戦にもつれこみ、12回に川端に決勝タイムリーを打たれて1-2で敗れた。中嶋監督は「去年しっかり負けましたので今年何とかやり返したいと思います」とリベンジを誓う。
池田氏は「打線はほぼ互角。ただオリックスには山本という絶対的なエースがいてブルペン陣の層も力も上。昨年同様に紙一重の戦いが続くだろうし非常に予想は難しいが、パ代表への期待も込めオリックスが4勝3敗で雪辱を果たすでしょう」と予想している。シリーズは22日から神宮でスタートする。
(文責・RONSPO編集部)