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ドラフトで大阪桐蔭高OB&現役4人の有力候補が指名漏れした
ドラフトで大阪桐蔭高OB&現役4人の有力候補が指名漏れした

なぜドラフトで大阪桐蔭高OB&現役の立教大・山田、川原、海老根ら有力候補が指名漏れしたのか…名門の“神通力”が弱まった?!

 松尾と共に注目を集めていた188センチ、85キロの大型右腕の川原は、2年夏に甲子園デビュー。今年のセンバツ優勝投手で、連覇を狙った夏の甲子園では2試合に先発、二松学舎戦では6安打8奪三振の完封勝利。U-18W杯の代表にも選ばれ、4試合13イニングに登板し防御率0.00で最終優秀投手賞に選ばれている。その豪州戦では、最速150キロをマークし、制球力に加えてスプリット、チェンジアップも効果的だった。
 海老根は甲子園で3発。今夏は打率.467、出塁率.667を記録し、U-18W杯の代表に選ばれている。181センチ、85キロのサイズがあり、強肩、俊足の大型センターだ。各球団のリストに上がり調査票も届いていた。
 それでも2人が指名されなかった理由を松井氏は、「川原はノビシロが楽しみな素材型だが、セットポジションになると鈍さを感じる。あの体格ならばコンスタントに140キロ後半は欲しい。各球団はもう少し成長の行方を見たいと判断したのではないか。海老根はバッティングがまだ雑。金属バットの弊害も危惧される。根尾、藤原らの先輩が伸び悩んでいるが、ここ最近の大阪桐蔭の打者は、木製バットの対応に苦労している傾向がある」と分析する。
 あるセ・リーグの関係者は、こんな話をしていた。
「かつてPL学園など“この高校なら鍛えられ野球を厳しく叩き込まれている”と選手の実力に“学校力”をプラスして獲得していた時代があった。多くのプロを輩出するプロ予備軍と言われている強豪校ブランドだ。スカウトは選手の性格や練習態度を細かくチェックするが、そういう学校には、教育されている安心と信頼がある。今でも学校や指導者のつながりから指名するケースがないわけではない。一方で甲子園常連の某校は、勝利至上主義の弊害で選手は高校時代がピークでプロで大成しないと敬遠されたことがあった。今は強豪校ほど、選手を大事に育てるので、そういうタブーは減っているし、大阪桐蔭も複数投手制を取り登板過多をさせず先を見据えて野球をさせている。ただ逆に投手に、とことん追い込んだ勝負をさせていないことや、打者は金属バットの弊害が出て、ここ数年はプロで活躍する選手が出ていない。根尾、藤原がその代表例。各球団にあった“大阪桐蔭だから信頼して取る”という“神通力”が少し弱まっているのかもしれない」
 現在プロ野球で活躍している大阪桐蔭高のOBは実に21人もいる。
 代表格は、年齢順にいくと、西武のおかわり君こと中村剛也、巨人の中田翔、楽天の浅村栄斗、FAの行使が注目されている西武の森友哉、メジャー挑戦が決まった阪神の藤浪晋太郎。5人もトップレベルで活躍しているのだから、まさに甲子園で優勝するだけでなく、選手も育成する名門。昨年もオリックスの4位で池田陵真外野手、日ハムの7位で松浦慶斗投手の2人がプロ入りしている。
 一方でプロ4年目の中日の根尾は打撃に見切りをつけられ投手転向、千葉ロッテの藤原は。今季49試合出場に留まり9盗塁はしたが、打率.209、出塁率.272と伸び悩んでいる。大型右腕として期待された日ハムの柿木も、6月に中継ぎとして1軍で4試合チャンスをもらったが、2軍落ち。巨人の横川も5月29日の交流戦の日ハム戦で先発抜擢されたが3回で5失点KO。以降、2度目のチャンスはつかめなかった。
 確かに近年の傾向としてレギュラーをつかむまでの選手は出ていないが、次のスターになるべくその潜在能力に疑いはない。学校名でプロに行けるほど甘い世界ではないのだろうが、横浜DeNAに単独1位指名された松尾の数年先、来年が本当の勝負となる根尾、藤原らのブレイクにも期待が集まる。
 プロ志望届を出していた柿木、海老根は、今後、進学か社会人の道を探ることとなり、山田に関しては、社会人からオファーがあるという。
 松井氏がエールを送る。
「ここからどう成長するかをスカウトは見ている。ヤクルトの塩見泰隆が帝京大からJX-ENEOSを経てドラフト4位で入ってレギュラーになった例もある。まだあきらめる必要はない。指名漏れの悔しさをぶつけて欲しい」
 来年は左腕エースの前田悠悟が競合の可能性がある1位候補して各球団がマークしている。
(文責・RONSPO編集部)

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