ドラフト1位で消える?!プロ注目対決で本塁打を含む3安打&申告敬遠の高松商・浅野翔吾の何がどう凄いのか?
全国高校野球選手権の準々決勝4試合が18日、甲子園球場で行われ、近江が7-6で高松商に競り勝った好試合では、プロ注目の近江の“二刀流”山田陽翔と高松商の浅野翔吾が対決した。4打席の対戦は本塁打を含む3安打で申告敬遠までされた全打席出塁の浅野に軍配が上がり、浅野の評価はドラフト1位候補として急上昇した。
ライバル山田は「ナイスバッティング!完敗や」
熱戦の火ぶたは今大会でプロスカウトが最も熱い視線を送る2人のドラフト上位候補の対決で切られた。ここまで3試合に先発して、防御率1.88、34奪三振の近江の山田と、2回戦の佐久長聖戦で1試合2本塁打を放っている高松商の1番打者、浅野の勝負である。
長打を警戒する山田は、外角へのボールから続けて入り、フルカウントになったが、その間、浅野のバットはまったく動かない。
6球目のスライダーだった。外角高めの変化球に左手1本で対応してレフト線へ運んだ浅野は、迷わず一塁を蹴り二塁へヘッドスライディング。トップバッターの役割を果たした。
2度目の対決は、高松商が2点を追う3回一死一塁で巡ってきた。カウント1-1からの3球目。真ん中やや外寄りの甘い146キロのストレートを捉えた打球はバックスクリーンへ。近江のセンターは早々と打球を追うのをあきらめた。特大の同点2ラン。浅野は右手でガッツポーズを作りダイヤモンドを回った。
「直球で押してくるんじゃないかというのが頭にありました」
浅野の読み勝ちである。
高校通算67号。通算本塁打ランキングでは、筒香嘉智(横浜高から横浜、メジャー)の69本に次ぐ12位。ちなみに1位は清宮幸太郎(早実から日ハム)の111本で、1番打者の1大会3発は史上初だという。
5回の第3打席もレフト前にヒットを放ち、3打数3安打とした浅野と山田の4度目の対決には、まさかの結末が待ち受けていた。
高松商が、2点ビハインドで迎えた7回一死一、二塁で、近江ベンチは、なんと申告敬遠を指示したのである。星稜高時代の松井秀喜氏が明徳義塾戦で5打席連続敬遠された試合は、今でも語り草となる1ページだったが、この申告敬遠も、浅野の存在感を象徴するシーンだ。
結局、三塁に走者を進めてまで浅野との対戦を避けた近江の策は裏目に出て、連続タイムリーを浴び同点、さらに押し出し死球まで与えて逆転を許すことになった。
近江は7回に7-6と逆転したものの、山田は足がつり8回途中で星野にマウンドを譲る。その星野が8回一死一、二塁で浅野をレフトフライに抑え込み、そのまま逃げ切り、ベスト4へコマを進めたが、主将同士が向き合って試合終了の挨拶をした際、山田は、浅野に「ナイスバッティング!完敗や」と声をかけたという。
山田は、試合後のインタビューでも「試合には勝ったけれど、浅野君との勝負には完敗してしまった」と第一声。よほど悔しかったのだろう。