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パラグアイ戦で鮮烈デビューしたDF伊藤洋輝が“ポスト長友”に急浮上(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
パラグアイ戦で鮮烈デビューしたDF伊藤洋輝が“ポスト長友”に急浮上(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

パラグアイ戦で鮮烈デビューのDF伊藤洋輝は長友佑都を超えることができるのか?

前半12分には左サイドから右サイドバックの山根視来(28、川崎フロンターレ)がいる右タッチライン際へ、一発でサイドを変えるパスを開通させている。 ロングキックを放つまでに要するのはワンステップだけ。なおかつコンパクトな振り幅で強く、速いボールを蹴れる選手は、いまの森保ジャパンには他に見当たらない。

 左足に絶対的な武器を宿すだけなく、ブンデスリーガの屈強な男たちと対峙してきた強さも、身長186cm体重78kgの恵まれたボディに脈打たせている。代表デビュー戦を終えた伊藤への評価を問われた森保監督は、もちろん及第点を与えている。

「彼のポテンシャルを示してくれた。守備では所属チームでやっているように、高さも含めて彼の身体的な能力と戦う姿勢を出してくれた。攻撃でも起点になり、味方を助けるフリーランニングを含めて、意欲的でアグレッシブな姿勢を見せてくれた」

 伊藤が左サイドバックとして刻んだ数々のパフォーマンスは、歴代の日本代表監督を悩ませてきた「ポスト長友」問題を解決する可能性も秘めている。

 岡田ジャパン時代の2008年5月にデビューし、南アフリカ、ブラジル、ロシアと3度のワールドカップに出場。歴代2位の「134」キャップを誇る長友佑都(35、FC東京)は鉄人ぶりが際立つゆえに、後継者探しも急務とされてきた。  2018年9月に船出した森保ジャパンだけでも、佐々木翔(32、サンフレッチェ広島)や山中亮輔(29、セレッソ大阪)、安西幸輝(27、鹿島アントラーズ)、ヴィトーリア(ポルトガル)への期限付き移籍が発表された小川諒也(25、FC東京)、パラグアイ戦の後半から出場した東京五輪世代の中山雄太(25、ズヴォレ)が起用されてきた。

 森保ジャパン以前は太田宏介(34、パース・グローリー)や車屋紳太郎(30、川崎フロンターレ)、酒井高徳(31、ヴィッセル神戸)に加えて槙野智章(35、同)も左サイドバックとしてプレーした。しかし、誰一人として長友の牙城を打ち破れなかった。

 右利きの長友に挑んだ選手たちのなかで、山中、小川、中山、太田、車屋は左利きだ。サッカーのポジションのなかで、左利きが重宝されるポジションとして左サイドバックがある。理由は単純明快。利き足でボールを持つ場合に自分の体を相手との間に入れられ、なおかつ攻め上がったときに利き足の左足でスムーズにクロスを入れられるからだ。

 しかし、その利点を持ってしても、エネルギッシュに上下動を繰り返し、1対1の攻防にもめっぽう強い長友のストロングポイントが上回っていると判断された。

 左利きの挑戦者の系譜に名を連ねる伊藤は、身長170cm体重68kgの長友だけでなく、他の誰もが持ち合わせていないサイズがある。森保監督が評価したように、シュツットガルトで主戦場としてきた3バックの左で育まれてきた対人の強さも兼ね備える。

「プレースタイルが違うし、やはり経験も実績もある選手なので。僕なんてサイドバックとしてプレーした回数が少ないし、クロスの精度や攻撃参加のタイミングも含めて、勉強させてもらうじゃないですけど、いろいろなものを吸収していきたい」

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