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3年前の感動よ。再び。ラグビーW杯仏大会が1年後の9月8日に開幕する(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
3年前の感動よ。再び。ラグビーW杯仏大会が1年後の9月8日に開幕する(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

ラグビーW杯仏大会まで1年…日本代表は初の8強進出を果たした3年前の感動を再び呼び起こせるのか?

イングランド代表に次ぐ強敵と見られるのは、アルゼンチン代表だ。

 日本大会では予選プール敗退も、現在の世界ランクは日本代表の10位に対し、アルゼンチン代表は6位。今年、元オーストラリア代表ヘッドコーチのマイケル・チェイカ氏が就任。成長をアピールしている。

 かねてから魅力だったタックルや空中戦での強さを活かしながら、攻めのシステムも整備。最近では南半球4か国によるラグビーチャンピオンシップで、W杯優勝経験のあるオーストラリア代表、ニュージーランド代表から白星を挙げている。アルゼンチン代表を下すにはイングランド代表戦と同様のクオリティが要求されるだろう。

 イングランド代表とアルゼンチン代表の両軍指揮官は、各自、東京サントリーサンゴリアス、NECグリーンロケッツ東葛という日本のチームでディレクター・オブ・ラグビーというコンサルタント的な重職に就く。

 一方で日本代表も今年、元イングランド代表ディフェンスコーチのジョン・ミッチェル氏を入閣させた。

 予選プールDの有力株が、互いに対戦国の動向をうかがって強化を進めている。相手の分析は、W杯を勝ち抜くのには欠かせない。それは初出場のチリ代表、過去2大会で下したサモア代表に対しても同じだ。

 W杯での成功へのチェックポイントは他にもある。担当レフリーの癖、各会場のグラウンドコンディション(天然芝と人工芝が混ざったハイブリット芝が主流)などがそうだ。そして、最も注力している作業はチームの地固めである。

 2020年は新型コロナの影響でテストマッチが行えず、日本大会の躍進を支えたスーパーラグビー参戦事業も別な事情で撤退を余儀なくされた。リスタートの年となった2021年にはブリティッシュ&アイリッシュライオンズという英国主体の連合軍、アイルランド代表などと計6試合を行うも勝てたのは格下のポルトガル代表戦だけ。そして今夏も、世界ランクで下回るウルグアイ代表に2連勝も、大会開催国で優勝を狙うフランス代表には2連敗。強豪を倒す経験を積めずにいる。

 ただ、現状の日本代表は、目先の結果にはとらわれない。2022年は、選手層拡大をテーマに掲げ、その成果は示しつつある。

 6月上旬から7月上旬までの活動期間内、指揮官はふたつのチームを同時に動かし約70名の選手をモニタリングしていた。

 組織的なカウンターアタックをはじめ、自前のスタイルが様々な選手に浸透した。それが垣間見えたのは7月9日。多くの主力を欠いたうえ、チーム内のコロナ禍にもさいなまれながらフランス代表を15―20と追いつめている。

 新戦力も台頭した。スタンドオフの座には、21歳の李承信が名乗りをあげ、強気の仕掛け、前向きな態度をジョセフ・ヘッドコーチに買われた。本番直前まで故障中の松田力也、日本大会時の主力だった田村優とこのポジションを争うだろう。

 他にはロックのワーナー・ディアンズ、フランカーのベン・ガンター、スクラムハーフの齋藤直人が昨年の初代表入りから一気に評価を上げた。

 3年前の日本大会でブレイクしたナンバーエイトの姫野和樹は、己に言い聞かせるように言う。

「競争力が上がることは、自分にとって大変だけどチームにとってはプラス」

 

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