中日大野雄大”完全試合未遂”の価値
中日の大野雄大(33)が6日、バンテリンドームで行われた阪神戦で9回まで一人の走者も出さずに”完全”に抑えたが得点が入らず延長10回に突入し、二死から佐藤輝明(23)に二塁打を浴び大記録を逃した。立浪和義監督(52)の交代の打診を断り続投を志願しての結果だった。だが、チームは一致団結。10回一死満塁から石川昂弥(20)のサヨナラヒットで大野に勝利を届けた。
9回を打者27人のパーフェクト投球
両手に祝福のためのミネラルウォーターを持った大野が真っ先にベンチを飛び出した。
一死満塁から8番打者の石川のサヨナラ打が前進守備の間をぬってセンターへ抜けていく。完全試合という大記録は逃したが、“ドラマ・イン・ナゴヤ“のフィナーレはハッピーエンド。
「僕は10回で降板すると決まっていたので、あとはチームがなんとか勝ってくれたらいいなと思いながらベンチにいたんですけど(石川)昂弥に満塁で回ってきた。前の打席は申告敬遠で歩かされて僕だった。(10回は)満塁になったので勝負するしかなかったので絶対打ってくれると思っていました」 大野は20歳のホープに感謝した。
8回には二死二、三塁のチャンスに石川が申告敬遠で歩かされ、大野がセンターフライに倒れていた。
「青柳投手がすごい投球をしていたので1点勝負のゲームだなと思いながら投げていた。もちろん走者を出していないことも気づいていましたし、とりあえず先頭を切って頑張っていこうという気持ちで投げていました」
9回を27人で投げ終えた。ただし、この時点でスコアは0-0。1点でも入らなければ完全試合は成立しない。大野は「あとは頼んだ」とナインに声をかけてベンチへと歩いた。
立浪監督は、ベンチの一番奥に座る大野のもとに行き「もうええか?代わるか?」と打診した。
球数は108球。一度は交代を了承したが、「柳ならもう一回いくと言うだろうな」と、ふと若き右腕の顔が浮かんだ。キャプテンマークを胸につけるエースとして次世代のエースに背中で伝えねばならないものがある。大野は、立浪監督を追いかけて「あと1イニングだけ行かせてください」と続投を志願した。