今日ゴング!…本当に40歳ゴロフキンは”カネロ”アルバレスとの3度目対決に勝てないのか…4月に戦った村田諒太の予想は?
米メディアは「アンダードックはゴロフキン」と位置づけ、ブックメーカーの予想も圧倒的にカネロ有利だ。英大手ウィリアムヒルはカネロ勝利が1.17倍でゴロフキン勝利が5.0倍、ドローは19.00倍という予想。さらに細かく見ると、カネロの判定勝利が2.00倍、KO勝利が2.60倍。ゴロフキンの判定勝利が7.00倍、KO勝利が9.00倍となっている。しかも、カネロのKO予想ラウンドも6、7ラウンドが12.00倍と最も高い。中盤でのKO決着もありと見ているのである。
ゴロフキン不利の主な理由は2つ。ひとつは、4月の村田戦でも1、2ラウンドは劣勢に立たされるなど、40歳の年齢からくる衰えを隠せないこと。もうひとつは、今回の試合がミドル級ではなく、カネロのフィールドであるスーパーミドル級で行われることだ。
ゴロフキンの実力を知る村田に予想を聞く。
「もちろん勝って欲しいのはゴロフキン。ドーピングとは無縁のクリーンなボクサーですからね。勝つと思います」
だが、これは良きライバルとしてゴロフキンをリスペクトしている村田の願望であり予想ではない。村田らしい表現で、ブックメーカーにひっかけて、こう本音を明かす。
「10万円かけるなら応援の気持ちもかねてゴロフキンですが1億円かけるならカネロです(笑)。大差ではない、判定決着でのゴロフキンの負けになると見ていますが、やはり階級の壁、そして2人のボクサーとしてのピーク度の違いが出そうです」
村田も“階級の壁“が大きく立ちはだかると見ている。
「カネロがライトヘビー級のピボルに判定で敗れたのも階級の影響だと思うんです。軽量級の1階級と、このクラスの1階級は大きく違います。今回はゴロフキンが168ポンド(76.2キロ)で戦いミドル級の160ポンド(72.5キロ)から8ポンド(3.7キロ)アップするわけですから影響は出ます。カネロにとってかなり有利な条件でしょう」
実は、ゴロフキンは、4月の村田戦を“カネロ前哨戦”と位置づけ、体のビルドアップをはかっていた。その分、村田戦での減量は、かなりきつくなっていたようだが、計量時に見せた肉体美は凄まじかった。だが、そのフィジカル強化の影響なのか、それとも40歳という年齢の影響かは、わからないが、ゴロフキンのスピードやキレという部分は、本来の姿ではなかった。
村田も「間違いなくゴロフキンは落ちていた」という。40歳のゴロフキンと32歳のカネロ。ボクサーとしてのピークを迎えているのはカネロである。
ただゴロフキンはパンチの威力はキープ。村田が「ビッグファイトのキャリアの差。上手さを感じた」という極上のテクニックは健在。
角度を変えて打ってくる“ゴロフキンフック“などオフェンスの引き出しと、相手のパンチの芯を外す防御テクニックは、カネロより1枚上手だ。
村田は、序盤に右のボディストレートや、左のボディアッパーをヒットさせてゴロフキンを下がらせ、“世紀の大番狂わせ“のムードを作りさいたまスーパーアリーナを沸かせたが、「そこから修正してきたんです。腹の位置を遠くにしてボディが届かない距離を作った。そうなるとこっちが打つ際にガードが空くリスクが生まれ、打ちたくても、打つことを躊躇するようになる。そういう計算ずくで、こちらの攻め手を封じ込んでつめてくる上手さがありました」という。
それらのテクニックは、ボディショットにしろフックにしろ村田よりもパワーが上のカネロのそれを封じることに通用するのかどうか。しかも、適正階級の違いでフィジカルではカネロが上。強引に崩されてしまう危険性もある。それらを総合して村田は「判定でカネロ」と結論づけるわけである。だが、何が起こるかわからないのがボクシングの醍醐味である。中重量級はワンパンチですべてが変わる。筆者も個人的にはゴロフキンの“奇跡“を願っている。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)