“令和怪物潰し”?!なぜロッテ佐々木朗希はソフトバンク異例の連続スクイズを防げずに弱点を曝け出したのか?
池田氏は、佐々木のリズムを狂わせるきっかけとなった、この回、先頭の柳田への配球にも首をかしげた。
「ロッテバッテリーは柳田の最近の調子の悪さを把握していたのだろうか。なんでも振りに来る状態だったのだから、カーブ、ストレート、カーブといった奇をてらうような配球は必要なかった。柳田の合わせたようなバッティングにピタリとタイミングが合ってしまった」
柳田にとっては2日の日本ハム戦で14号を放って以来、7試合、31打席ぶりとなる一発だった。その間の打率が.176にあえぎ、9三振を喫していた主砲は、カーブが外角高目へすっぽ抜け、外角高目の158kmのストレートを空振りした直後の3球目、捕手の松川虎生が構えたミットとは逆の内角へ甘く入ってきたカーブを強振した。
佐々木の被本塁打は今シーズン3本目で、パ・リーグの打者に打たれたのは初めてだった。同じく報道によれば、今シーズンの対戦成績で6打数ノーヒット、4三振を喫していた佐々木へ見舞った先制アーチを、柳田はこう振り返っている。
「とにかく当てることだけを考えていた。当たった結果がホームランになった」
直後から佐々木のピッチングが単調になった。
中村に初球をレフト前へ落とされ、柳町には2-0から3球目を中越え二塁打された。打たれたのはともにストレート。追い込まれる前に、少しでも甘く入ってくるストレートに的を絞る。各チームに浸透しつつある佐々木対策にはまってしまい、異例の連続スクイズの舞台設定を作られたしまったのである。 ただ、心が折れそうな展開で佐々木は3回以降に立ち直った。
3回以降の4イニングで被安打わずか1本に封じ、スコアボードに「0」を並べさせた。初回からコントロールが定まらなかったスライダー、柳田に痛打されたカーブを封印。最速160kmのストレートと140km台中盤のフォークという配球に変えた。
4回二死一塁の場面で甲斐を4球連続のストレートで追い込み、143kmのフォークで見逃がし三振に斬ってからはエンジンがさらに全開になる。1番・周東佑京から始まる5回、そして6回の先頭・柳田と圧巻の5者連続三振を奪ってみせた。
柳田への痛快なリベンジとなった空振り三振は、フォークの連投で瞬く間に0-2と追い込み、内角にわずかに外れた3球目、160kmのストレートで腰を引かせた。内角低目のフォークをかろうじてファウルにした柳田は5球目、外角へズバリと決まった158kmのストレートにまともなスイングができなかった。 二死後に中村からもこの試合で10個目となる三振を奪い、今シーズン7度目の2桁奪三振に到達させた佐々木を、池田氏も「見事に立ち直った」と高く評価した。
「2回は体が動いていなかったが、自分で意識したのか体が動き始めた。経験を重ねて調整力というものを身に付けつつあるのだろう。悪いときにどう立て直すか、を実行できた点は評価していい。元々コントロールに苦しむタイプではないが、ストレートも変化球のキレも手も足も出ないというレベルのものだった。ソフトバンク打線は、早いカウントから浮いたボール、打てるボールを仕留めたかったのだろうが、それを許さなかった。体もできてきて、リリースの位置もフォームも安定感が増しているように思える」